10世紀フランスにブルゴーニュ、アキテーヌ地方から起こった「神の平和」運動は、民衆と教会が連携して真の平和を確立しようとした世界初の宗教的民衆運動である。ドイツ中世史学界を代表する著者が、あらゆる同時代資料と文献を駆使して、その歴史的井意義を社会指摘に把握し、運動の中に結晶化されてくる社会生活全般を浮き彫りにした民衆運動史研究の名著。
【目次】
序
はしがき
第一章 諸前提
A 封建的分裂の時代におけるフランスの教会
封建的分裂 教会聖職者・修道士たちの時代批判 防衛手段としての破門 教会会議の意義
B プルゴーニュおよびアキテーヌにおける農民の状態
農民の経済状態の分化 貨幣経済 荘園の構造 農民の不安定な経済状態 南フランスにおける階級闘争の諸条件
第二章 教会と下級階層との関係
問題提起
“貧者“に対するクリュニー派の立場
修道院荘園の社会的機能
下級階層に対する教会のイデオロギー的感化
この問題に関する従来の研究
小教区の意義
聖遺物礼拝の発展
十世紀の聖遺物礼拝に対する修道院の態度
トゥールニュ
フィジアク
アンズィ=ル=デュク
スヴィーニ
コンク
修道院の民衆に対する働きかけ
異端
南フランスの位置
南フランスにおける聖人の胸像
教会建築
“宜伝文書“としての奇跡物語
教会財産の守護手段としての聖追物
世論の意義
第三章 初期の「神の平和」運動の経過
シャルー
ナルボンヌとル・ビュイ
リモージュ
ポアティエ
ヴェルダン=シュル=ラ=ドゥーブ
エリ
北フランスヘの第一次拡大
アンス
エルヌ
シャルー
リモージュ
ポアティエ
ルドルフ・グラバーの報告
オーセール、ル・ピュイ、ポアティエ
北フランスヘの第二次拡大
絶対的平和の要求
ブールジュ
神の休戦
第四章 民衆運動としての「神の平和」運動
「神の平和」運動に関する従来の研究
問題提起
神の平和の根本規定
“貧者“の保護
経済的動機
カロリング朝の国王罰令との関係
教会が用いた方法
宣督
聖務停止
平和部隊
各教会会議に関する叙述史料
平和教会会議の経過の特色
民衆運動としての平和運動
「神の平和」運動と巡礼運動
平和運動に対する修道院の関心
平和運動と十字軍運動
教会の階級的立場
原注(史料および文献の省略記号)・補注
訳註
訳者あとがき
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