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キリスト教修道制の成立

今日世界各地に見られるキリスト教の修道院の源流は、3-4世紀の地中海世界、特にエジプトなどに求めることができる。本来人間が生きられない場所である砂漠への隠遁を敢行した「修道者の父」アントニオス、さらにその先駆者たちの試みがキリスト教修道制の端緒を成しているのである。その後の歴史に鑑みて、修道制の成立はキリスト教史上巨大な意義を有すると言うことができる。では、修道制はどのようにして成立したのか。これまでに提出された様々な学説を批判的に検討し、さらに修道生活とはそもそもどのようなものだったかを提示しつつ、修道制の成立という、古代キリスト教史研究上最もよく議論されてきた問題の一つに対して、新たな光を当てるのが本書の狙いである。

【目次より】
序言
凡例
第一部 修道制の成立をめぐる諸論点
第一章 「最初の隠遁者テーバイのパウルス」は実在したか?
第二章 『アントニオス伝』の史料価値をめぐって
第三章 無学な修道者アントニオス? 初期修道制研究の 動向
第四章 キリスト教修道制の成立とマニ教 エジプトとシリアの場合
第五章 エジプトにおけるキリスト教修道制の成宜をめぐる覚書
第六章 ローマ期エジプトにおけるキリスト教の普及をめぐって
第二部 キリスト教修道制の成立
第一章 『師父たちの金言』とポントスのエウアグリオス
第二章 古代末期におけるキリスト教修道制の成立
第三章 キリスト教修道制の成立をめぐる諸論点の詳論
補論 初期修道制と「主知主義」
第一章 グノーシス主義と修道制
第二章 なぜエウアグリオスは秘教的だったか?

文献略号表