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科学史からキリスト教をみる

1543年、コペルニクスは地動説を発表したためにカトリック教会によって弾圧されたのか、それとも褒められたのか?  ガリレオ裁判をはじめ、われわれは「宗教と科学の対立」という見方で捉えがちであるが、ホーリー・デザインの解明を求めた16~17世紀の「科学」は教皇庁の推奨をうけたものであり、近現代の科学とは大きく異なるものであった。学問体系からキリスト教的枠組が取り払われる18世紀以降を近代と位置づけて、聖俗革命という概念を提唱してきた著者は、常識にとらわれず異文化として歴史に向き合うことの意義と面白さをとく。さらに、環境破壊はキリスト教が元凶かという問題に踏み込んで、環境問題が提起する人間の欲望充足の限界を論じる。平易な語り口で自然科学の歴史のみならず近代学問の歩みを辿るとともに、現代われわれが直面する近代科学技術文明の弊害の根を問い、新しい倫理を展望する講演。

【目次より】
「長崎純心レクチャーズ」について   片岡千鶴子
第一回 近代科学の成立をどう捉えるか
科学革命
科学革命論の問題点
コペルニクスの地動説の本質
プトレマイオスの天動説
太陽への崇拝
フィレンツェ・プラトニズム
進歩史観的歴史記述法
ルネサンス時代の真相
サイエンスとは
質疑応答
第二回 聖俗革命
ディドロ自身の世俗化
百科全書とは
自由思想家
なぜアルファベット順か
もう神は要らない
世俗化された知
学問の再編 科学へ
科学者の誕生
学問の細分化
科学とは
デカルトの二元論
こころのタブー
こころのタブー・再論
質疑応答
第三回 環境問題とキリスト教
キリスト教が環境問題の元凶?
人間による「地の支配」
人間中心主義
男性中心主義
ホワイトは正しいか
文明概念の勃興
文化と文明
神ー人間ー自然
普遍化の努力
新しい倫理
欲望充足の限界
質疑応答
あとがき