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中世初期の普遍問題

「類や種」といった「普遍」は、実在するのか、観念的にしか存在しないのかをめぐる中世最大の哲学論争を問い直す。論理学の最重要書であるポルフュリオス『エイサゴゲー』の冒頭に、「類や種(すなわち普遍))実在するのか、それとも単に理解のうちに存在するのみなのか」という問題を提起していた。ボエティウスによる『エイサゴケー』のラテン語訳と注解が西欧中世に伝わっていたが、当時の学者たちは実在論の立場を受容していたが、11世紀後半になって大論争へと発展した。本書は、その前段階の中世の知的状況を追究する。

【目次】
序文
初期スコラ哲学におけるアリストテレス的実念論
一 ポルフュリオスの問いにたいするボエティウスの註解
二 初期スコラ哲学における展開の始源
三 バスのアデルハルドゥスの教説
四 モルターニュのワルターの「状態」(status)説
五 もう一つの「状態」説
六 「無差別」説
七 ソワッソンのガウスレヌスの「総体」説
八 ギルベルトゥス・ポレタヌスの教説

初期スコラ哲学における唯名論
一 序論
二 十一世紀以前の唯名論
三 唯名論の起源
四 ロスケリヌスの唯名論
五 ロスケリヌスにおける「部分」の概念
六 アベラルドゥスの唯名論
七 結語

補遺 アベラルドゥス宛てロスケリヌス書簡
解説
索引