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他者の原トポス

哲学とは自己を探求することであり、自己は他者との出会いを契機に、はじめて成立する。アウシュヴィッツに象徴される他者の抹殺と崩壊(ショアー)という20世紀の負の遺産は、われわれに「他者とは何か」という痛切な問を投げかける。著者は今日に至るまでヨーロッパ思想の基底に流れる“存在‐神‐論”の視点から、他者への思索の生成と展開の原トポスともいうべき聖書や哲学、神学など広範なテキストに聴従し、他者概念の真相を見極める。存在、神、そしてロゴスとは何か。これら思想基盤を支える概念が、他者論といかに関わってきたのか、自己と他者との共生は可能か。現代における他者忘却の意味とそれを克服する方向性を示して、現代の思想的課題に正面から答えた問題作。

【目次より】
序論 他者と存在-神-論
本論 存在と他者のトポスへ
第一部 原トポスの哲学 教父・中世哲学と他者
第一章 ニュッサのグレゴリオス(三三〇頃-三九四頃)
I 一期一会 『雅歌講話』に即して
II 出会いの解釈学
第二章 アウグスティヌス(三五四-四三〇)
I ロゴスの転位と他者の拓け 『告白』に即して
II 汝の近みゆえに我在り
第三章 トマス・アクイナス(一二二五--七四)
I 他者のトポス・存在判断
II 「存在-神-論」の彼方
第四章 マイスター・エックハルト(一二六〇-一三二八)
第二部 原トポスの神学 ヘブライ・新約思潮
第五章 他者の誕生と喪失 『創世記』に即して
第六章 ハーヤー存在論と他者のエチカ 『ルカ』の「善きサマリア人の譬え」より
第七章 死と甦り 『マルコ』の空虚の墓の物語より
第八章 プネウマ言語と他者の記憶 『ヨハネ』十三-十七章
むすびとひらき
あとがき
初出一覧

文献表