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『公事方御定書』研究序説

18世紀半ばになった幕府の内規集。8代将軍徳川吉宗が裁判,行政の準拠とすべく編纂させたものである。著者のライフワークであった本書は、一部未完であるが、「公事方御定書」の研究書として重要である。その構成の全貌が目次から読み取ることができる。

【目次】
序言
一 『寛政刑典』に対する位置づけ
1 『寛政刑典」位置づけの二説
2 菊池駿助氏の『寛政刑典』に対する位置づけ
3 『寛政刑典』位憧づけ誤謬の原因
二 『寛政刑典』を町奉行所編纂法典と解する根拠
1 『寛政刑典』の町奉行所編纂法典の根拠
2 『寛政刑典』に収録の新規定
三 『寛政刑典』の成立と廃棄
1 『寛政刑典』の成立時期
2 『寛政刑典』の編纂者
3 『寛政刑典』の実効性
4 『寛政刑典』の廃棄時期
5 『寛政刑典』編纂の意義
四 宝暦『御定書』固守(『棠蔭秘鑑』収録『公事方御定書』成立)の背景──その一 古法墨守への執着
1 形式(体裁)上での対応
2 実質(内容)上での対応
五 宝暦『御定書』固守(『棠蔭秘鑑』収録『公事方御定書』成立)の背景──その二 宝暦『御定書』に内在する弱点と改正の煩雑
1 法源としての地位の低下
2 欠陥刑罰、刑法などの内包
3 法源の多様性と身分による適用法の差異
4 既存の法秩序を無視した新法の乱発
六 宝暦『御定書』固守(『棠蔭秘鑑』収録『公事方御定書』成立)の背景──その三「御定書懸」三奉行の多忙と怠慢
七 宝暦『御定書』を通じてみた近世後半期の幕府裁判法体制の実態
1 宝暦『御定書』に対する時勢適応、便宜主義的改正
2 大名、幕府諸奉行、代官などにみられる手限仕置権の拡大、強化
3 宝暦『御定書』に規定されない佐州水替人足差遣および江戸石川島人足寄場収容といった刑罰の重用
八 『公事方御定書』研究における今後の課題
1 課題の領域
2 寛保、宝暦両『御定書』の定本確定
3 特定時期における宝暦『御定書』の本文確定
4 幕府裁判法制史上における寛保、宝暦両『御定書』の位置づけ
5 明治新政府の宝暦『御定書』に対する評価
結語〔原稿不完全〕
あとがき 吉田正志