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論語義疏の研究

六朝時代に盛行した義疏の中で唯一現存する、梁・皇侃撰述の「論語義疏」は、漢代から梁代に至る五百年の論語研究史を示すものである。中国では早く一〇〇〇年頃に散逸し、完本は日本の室町時代の古写本である旧抄本論語義疏が残るだけであり、異本としては敦煌で発見された唐代写本の敦煌本論語疏が存在するが、残巻である。本書は、論語義疏が中国あるいは日本で度重なる修改を受けながらも日本に現存している過程を明らかにし、旧抄本論語義疏と敦煌本論語疏に関わる諸問題を解明、論語義疏祖本の推定を行った労作。

【目次より】
凡例
序章 『論語義疏』研究の目的と本書の構成
一 皇侃について 二 『論語義疏』に潜む問題 三 『論語義疏』のテキスト 四 本書の構成
第一章 旧抄本『論語義疏』の研究
(一) 『論語義疏』の日本伝来とその時期
(二) 旧抄本『論語義疏』成書過程の解明
まえがき 一 旧抄本『論語義疏』に書き入れられている〓〓『論語正義』の検討 二 『論語正義』書き入れの意図 三 『論語正義』書き入れにかかわる『経籍訪古志』、島田、武内説批判 四 藤原頼長『台記』に見える『論語義疏』と『論語正義』 五 『論語正義』書き入れの時期 九華和尚の見た『論語義疏』 まとめ
(三)『論語総略』と『論語義疏』
まえがき 一 『論語総略』の構成究 二 「大綱」について 三 「題名」について 四 「本之同異」について 五 「二十篇目録并篇次大意」について 「篇次大意」所引『論語義疏』の分析 まとめ
第二章 敦煌本『論語疏』の研究
(一) 敦煌本『論語疏』経文の検討
(二) 敦煌本『論語疏』に見える「通釈」の検討
(三) 敦煌本『論語疏』に見える「提示句」の検討
(四) 敦煌本『論語疏』の疏文を中心とした解読と分析
第三章 旧抄本『論語義疏』と敦煌本『論語疏』
第四章 『経典釈文』「論語音義」と『論語義疏』
附論
附論一 呉騫『皇氏論語義疏参訂』十巻初探
附論二 『論語義疏』の二種の校本、『根本校正本』と『武内校本』をめぐって
附論三 日本における『論語義疏』の受容
附論四 『論語』「学而」篇「有朋自遠方来、不亦楽乎」をめぐって
附論五 『論語義疏』研究の道筋
あとがき