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アジア神学講義

神学に本質的な論題を問い直すアジア神学を、キリスト教二千年の歴史に新たに加えられたキリスト教神学の生ける伝統の証と捉えて、互いに隔たった伝統的神学と伝統批判的神学とを結ぶ一つの架橋の試み。文化・経済交流が進む東アジア圏の相互理解を考える上でも示唆に富む好著。
本書が取り上げるのは、アジア的な文化背景を自覚的な文脈としたキリスト教神学である。東アジアという儒漢文化圏に対象を絞り、韓国、台湾・日本・北朝鮮生まれの代表的神学者四人を取り上げて、共感的理解を目指すとともに必要な批判を加えて紹介する、わが国初のアジア神学入門であり、伝統的神学と伝統批判的神学とを結ぶ一つの架橋の試み。


【目次より】
目次
序章
1 なぜ「アジアの神学」か
2 「文脈化神学」の現在
3 授業の風景から
4 神学と伝統
5 神学と正統
第1章 アンドルー・パク 「罪」の補完概念としての「恨」

1 「恨」の概念
2 恨の構造類型
3 恨の晴らし
4 神学的折衝

第2章 C. S. ソン 「応報の神」へのアジア的批判

1 『第三の眼の神学』
2 『アジアの母胎からの神学』
3 『イエス 十字架につけられた民衆』
4 民衆の信仰と神学の任務

第 3 章 小山晃佑  対立と受容の背面構造

1 日本の神学と小山
2 『富士山とシナイ山』
3 対立と受容の背面構造
4 方法論的な反省
5 アジア神学の特殊性と普遍性

第4章 ジュン ・ユン ・リー  文脈化のもたらす新たな相克

1 三位一体論と神学の可能性
2 陰陽の哲学
3 陰陽の三一論的理解
4 アジア的な三位一体論
5 アジア的三一論とジェンダー理解
6 三一論的倫理
7 三位一体論のアジア性

結章
1 総括
2 文脈化の諸類型
3 宗教混淆と二重信仰
4 文脈化と歴史の重層性
引用文献一覧
あとがき