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コミュニケーションと宗教

キリスト教と仏教の対話はどのような場で可能となるか。宗教間対話は現代神学の緊急の課題であるが、著者によれば、それは互いの共通項を探すことや第三の概念の共有で成り立つのではない。信仰とはそもそも排他的なものである。この理解を前提に、トレルチの比較宗教学とバルトの「神の言葉の神学」を批判的に分析し、武藤一雄のホモ・ロゴスと西田哲学の絶対矛盾的自己同一、そしてハイデッガーの存在論から宗教の排他性と普遍性の関係を問い直す。更には鈴木大拙とマートンの対話を取り上げてコミュニケーションの本質を探ると共に、対話の失われた近代デモクラシーを批判。最後に人間の未完結性と、それゆえの生のユーモアをといた思索の書。一貫して近代的思惟の克服を追究してきた著者による最新作。

【目次より】
第一章 神学における対立の一致 トレルチとバルトにおける宗教
一 トレルチ復興
二 トレルチのキリスト理解
三 バルトのキリスト理解
四 結語
第二章 信仰の特殊性と普遍性
一 キリスト教の特殊性と近代神学
二 絶対他者の意味
三 宗教の本性的矛盾
四 認識論的二元論の克服
五 現代の存在論とポスト・モダーン
六 われ信ず
第三章 神の人格性について
一 人格神と対象神
二 無神論と人格神
第四章 対話の場
一 はじめに
二 井上洋治神父の神学
三 鈴木大拙とトマス・マートン
四 対話の場
第五章 デモクラシーと絶対無
一 近世以前の人間
二 宗教改革の政治思想史的意味
三 近代の個人主義批判
四 デモクラシーの本性
五 ラディカル・デモクラシー
六 ラディカル・デモクラシーと絶対無
第六章 憧憬・死・老い
一 はじめに
二 憧憬と死
三 ホモ・ロゴスと絶対矛盾的自己同一
四 老いについて
あとがき