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クザーヌスと近世哲学

本書は、クザーヌスの思想と立場を近世哲学の諸展開への視線のうちで解明する研究である。クザーヌスの思想自体をルネサンスまたは近世初頭と呼ばれる新しい時代への過渡のうちに位置づけつつ、その眼差しのうちで彼の思想展開の諸相と同時代の思想背景を考察し、クザーヌス研究に新たな地平を指し示す。
同著者の『〈無限〉の思惟 ニコラウス・クザーヌス研究』の続編である。

【目次より】

I
第一章 近世的思考の原点 クザーヌスの「ドクタ・イグノランチア」をめぐって 
第一節 「無知の知」について 第二節 ソクラテスの無知 第三節 デカルトの懐疑、カントの批判 第四節 比較による知 第五節 把握と抱握 第六節 知恵(真実知)の可能性 第七節 臆測について 第八節 科学の立場 第九節 科学と宗教
第二章 クザーヌスと「無限」の問題
第三章 近世哲学における神の問題 クザーヌスからカントへ 
II
第四章 クザーヌスにおけるIdiotaの立場と〈ことば〉
第五章 ルネサンス的人間観の成立と意義
序 世界と人間の発見 第一節 キリスト教的人間観 第二節 ルネサンス的人間観の形成 N・クザーヌスの場合 第三節 ルネサンス的人間観の成立 ピコの場合 第四節 ルネサンス的人間観の特質 結び ルネサンス的人間観の意義
第六章 宗教における多元性と普遍性 N・クザーヌスの『信仰の平安』をめぐって 
第一節 多元性の問題 第二節 多様な宗教と一なる神 第三節 一と多の論理 第四節 宗教における普遍性と多元性
第七章 -aemgmatica scientia-について 後期クザーヌスにおける知の問題 
はじめに 第一節 緑柱石について 第二節 〈aemgmatica scientia〉について 第三節 人間知性と神的知性 第四節 〈species〉をめぐって むすび
第八章 〈non-aliud〉について 後期クザーヌスにおける神の問題
III
第九章 近世初頭における自然哲学と自然科学
はじめに 第一節 「神の書物」としての自然 第二節 自然と人間の解放 第三節 占星術と自然哲学 ポンポナッツィとピコ 第四節 魔術と自然哲学 テレジオとポルタ おわりに
第十章 ルネサンスの自然観について N・クザーヌスからJ・ベーメヘ 
第一節 ルネサンスという時代 第二節 「自然」への関心 第三節 ルネサンス的自然認識の三つの方向 第四節 ルネサンス的自然の原像 N・クザーヌス 第五節 ドイツ自然哲学の特質 パラケルズス 第六節 ドイツ自然哲学の大成 J・ベーメ 第七節 結び ルネサンス自然観の特質
第十一章 〈神〉なき神の探求

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