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日本古代の法と裁判

「律令国家の裁判制度」「日本古代法の諸相」の二部構成からなる本書は、日中律令の比較により日本古代法の特色を剔抉した画期的作品。大化前代を固有法の時代、大化以降を継受法の時代とする図式的な時期区分を批判し、中国律令の継受以前と以後を通じて、日本古代法が東アジア法圏のなかに包摂されつつ独自の発達を遂げてゆく過程を鮮やかに描く。

【目次より】
序言
凡例
第I部 律令国家の裁判制度
第一章 律令裁判制度における天皇と太政官 上訴及び直訴の制をめぐって
第一節 公式令に規定する裁判上の上表 第二節 直訴制度に関する日唐の差異
第二章 律令裁判における太政官の覆審制
第一節 唐制における尚書省刑部の覆審 第二節 養老獄令郡決条における太政官の覆審第三節 六国史における断罪の論奏と覆審制の変化 第四節 太政官の司法権限と日唐司法官制の差異
第三章 奈良・平安時代における刑部省と判事局
第一節 刑部省における判事局の地位 第二節 令制刑部省と判事局の成立過程 第三節 平安時代における判事と明法道
第四章 律令制下における京職の裁判権 唐京兆府との比較において
第一節 獄令条文の解釈からみた京職の裁判権 第二節 京職の民政と裁判 第三節 唐獄官令の継受と京職の裁判権 第四節 唐京兆府と京職の比較
第五章 律令裁判手続に関する二系統説と一系統説
第一節 二系統説と一系統説の対立 第二節 獄令犯罪条の法意 第三節 令集解諸説における「事発」の解釈
終章 律令国家における裁判権の構造 郡司の裁判権をめぐって
第II部 日本古代法の諸相
第一章 日本古代における賠償制と固有法 記紀・中国史書にみえる財産刑と住居焼却慣行をめぐって
第一節 記紀にみえる贖罪記事と賠償制 第二節 中国史書にみえる倭国の法と賠償制 第三節 火刑と日本的犯罪観念
第二章 日本律成立の諸段階
第一節 大化期の刑罰記事の検討 第二節 天武朝における唐律継受 第三節 持統朝における律の運用 第四節 浄御原律の編纂
第三章 日唐における違勅罪の概念
第一節 唐垂拱格と違勅罪 第二節 唐制における違勅罪の概念 第三節 日本における違勅罪の概念
第四章 阿衡の紛議における諸家の法解釈 事件の政治的経過及び菅原道真の法解釈をめぐって
第一節 阿衡の紛議と藤原基経の政務放棄の背景 第二節 橘広相の勘罪名と菅原道真の法解釈
第五章 寺社領荘園における不入権成立の背景 寺社領荘園における国家警察権排除の慣行をめぐって
第一節 寺社領域の治外法権的性格と不入権の淵源 第二節 寺社領荘園における政治的不入権の成立過程
あとがき
成稿一覧