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自然法論

本書は「ばら戦争」最中の一四六一-六三年頃、王座裁判所首席裁判官の経験もあるジョン・フォーテスキューによって、ランカスター朝ヘンリ六世の権原を擁護するという実践的意図の下に書かれたものである。イングランドにおける従来の相続法準則によれば、ヨーク朝による王位継承権の主張が有利であったため、フォーテスキューは「被相続人たる国王に男子直系卑属が存在しない場合に、娘およびその子たる孫と国王の弟のいずれが王位継承権を有するか」という――現実の王位継承争いがその応用問題となるような――形で問題を設定し、自然法を準拠法として「弟」に有利な結論を導き出す。詳細な訳註を付した本訳書は、一九世紀の刊本と一六世紀の残存写本(Lambeth MS 262)の厳密な校合に基づく決定版。

【目次より抜粋】
凡例
覚書
第一部 自然法の本質について
第一章 ここで著者は、その執筆の理由を示す。
第二章 これは法に属する問題ではあるが、著者は他の諸分野の援助を拒むものではない。
第三章 この問題の解決は、カノン法あるいはローマ法以外の法を必要とする。
第四章 モーセの手を介して律法が与えられるまで、自然法のみが但界を支配していた。
第五章 自然法は他のすべての人定法にまさっている。
第六章 メルキゼデクは自然法の下でのみ王とされた。
〔省略〕
第四〇章 いかにして正義の名が人の名に等しいものとさせられるか。
第四一章 ここでは、始源的正義が自然的正義といかに相違するかを見よ。
第四二章 自然法は何故に神に属すると言われ、また神法の娘と言われるのか。
第四三章 人定法の神法に対する関係は、月の太陽に対する関係のごとくである。
第四四章 ここでは、神法の目的と人定法の目的が問われ、それが示される。
第四五章 知性を通して活動する意思の目的は二つある。
〔省略〕
第二部 至高の諸王国における継承権について
第一章 提起された問題において正義が裁判官として選ばれ、立てられる。
第二章 王の娘の権原
第三章 王の娘が主張した最初のことに対する王の孫の返答
第四章 王の娘が主張した第二のことに対する〔王の〕孫の返答
第五章 イスラエルおよびユダの王国において、女達は決して継承権を有してはいなかった。
[省略]
第七一章 慣習は、上位のものを知らない王国において女が継承することを可能としない。
訳者あとがき