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キルケゴールと「キリスト教界」

70年代における実存主義の退潮後も、なお様々に語られ多くの者が思想を構築する際に陰に陽に参照点として活用するキルケゴール。これまで数多のキルケゴールが語られてきたが、渦中のキルケゴール自身はいったい何を考えていたのであろうか。本書はテクストを詳細に読み解き、「キリスト教界」をキーワードに「一九世紀デンマークの改革者」という実像に迫る画期作。キリスト教信仰を堅持しつつ哲学者や神学者の形而上学を鋭く批判したキルケゴール思想の輪郭を確定するとともに、イエスを倣って卑賤の実存を志向する、そのキリスト教倫理がもつ現代的意義を展望する。

【目次より】
序論
第一部 前期キルケゴールのキリスト教人間学
第一章 実存弁証法と形而上学批判
第一節 主体性の発展
第二節 インコグニト、諸段階の関係
第三節 形而上学を拒む実存
第四節 伝達、人格、ネガティビティ
第二章 キリスト教主義の思想
第一節 第二倫理
第二節 反復
第三節 前期仮名著作の「詐術」
第四節 前提としての信仰
第二部 キルケゴールと「キリスト教界」
第三章 後期キルケゴール思想の展開
第一節 近世デンマーク史
第二節 隣人愛
第三節 大勢と単独者
第四節 卑賤論の提示をめぐる煩悶
第五節 義務と恩寵
第四章 フォイエルバッハと人間主義の問題
第一節 フォイエルバッハのヘーゲル理解
第二節 投影論と卑賤論
第三節 フォイエルバッハの「新しい哲学」
第四節 投影論を超克する論理
第五節 キリスト教主義と人間主義
第五章 キルケゴールと「キリスト教界」
第一節 キルケゴールのキリスト教史理解
第二節 キルケゴールの自己理解
第三節 教会との関わり
第四節 宗教と政治
第三部 キリスト教界内の思想家としてのキルケゴール
第六章 「キリスト教界」批判とキリスト教主義
第一節 現象としての「キリスト教界」と理念としてのキリスト教
第二節 実定宗教としてのキリスト教
第三節 信仰と演繹
第四節 キリスト教界とその外部
第七章 素朴性の問題
第一節 信仰主義の反省性と素朴性
第二節 「哲学」批判の現代性
第三節 歴史と永遠
第四節 「キリスト教界」という文脈
第八章 キルケゴールと現代
第一節 世俗化
第二節 形而上学批判の射程
第三節 哲学と歴史学
結論
あとがき
引用文献