「東方教父における超越と自己」既刊・関連作品一覧

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東方教父における超越と自己

東方ギリシア教父の伝統は、ヘブライ・キリスト教と古代ギリシア哲学という二大潮流の邂逅のうえに成立し展開した。それは思想史上、後世にとって規範ともなり源泉ともなった。本書は教父哲学の祖アレクサンドリアのクレメンスと哲学面での代表者ニュッサのグレゴリオスにおける愛智=哲学の中心に息づく存在論的ダイナミズムに視点をおいて、哲学や倫理学の根源的位相を明らかにし、研究の少ない未開拓な分野に本格的な鍬をいれた画期的業績。


【目次より】
はしがき
序章 教父の愛智とその指し示すところ
第一部 信と知との探究 アレクサンドリアのクレメンスに即しての展望
第一章 知を求める信 その動的な構造
第一節 クレメンスの人と時代
第二節 根源の出会いと信
第三節 創造の場に
第二章 敬神と愛智
第一節 信と知との開かれたかたち
第二節 否定の道
第三節 自然・本性と自由
第四節 神性の交わりと他者
第二部 ニュッサのグレゴリオスにおける超越と自己
第一章 愛智の基本的構造
第一節 神的ロゴスの現存の場に向かって
第二節 愛智の発動
第二章 神の名と否定神学
第一節 生の範型としてのモーセ
第二節 神の名の顕現
第三節 否定神学と象徴
第三章 エペクタシスの道行き
第一節 闇のうちなる神の顕現
第二節 自己超越の論理
第三節 絶えざる生成
第四章 存在の次元における自由の問題
第一節 創造と罪
第二節 自由意志と自己
第三節 欲望の問題
第五章 善の超越性と不断の創造
第一節 自由と行為と善の連関をめぐって
第二節 不断の創造
第三節 人間的自由と神性の働きとの共働
第六章 肉体・質料の復権と他者
第一節 人間的自由と悪
第二節 内的な砂漠
第三節 肉体・質料の復権
第七章 神性の全一的交わり
第一節 エクレシアとその動的な姿
第二節 神の宿り・顕現の機微
第三節 全一的交わりの成立
第四節 キリストの受苦と栄光 没薬と乳香
第八章 内なる根拠・キリストの発見
第一節 信と知との緊張
第二節 使徒的経験の場に
第三節 教理的文脈の吟味
第四節 人間的自由と新しい創造

あとがき