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首相の権力

本書は、現代デモクラシーに不可避的に伴う委任関係を捉える分析道具であるプリンシパル・エージェント理論を援用しながら、英国を中心に発展を遂げている執政府中枢研究と政党組織論の接点を探り、比較事例分析の手法を用いて首相の権力を決定づける要因が何であるのかを探究する。これにより、日英の首相を比較政治学の文脈に位置づけつつ、英国政治の脱神話化を図る。日英両国の首相が1970年代の政府内政策決定においてどのような権力のあり方を示したのかを分析することをとおして、議院内閣制が権力を創出しコントロールするその根源的なメカニズムの解明を目指す。

【目次より】
序章 問題の所在 日英比較分析の視座から
はじめに
第一部 首相職を位置づける 政党政治と執政政治との間
第一章 首相の権力とは何か 政党政治と執政政治との間に位置する首相職
第二章 首相と執政府中枢 一九七〇年代における日英両国の政府内調整メカニズム
第三章 首相を「操縦」する 一九七〇年代における政権党組織の比較分析
第二部 首相の権力を検証する 比較事例分析
第四章 委任とコントロール エドワード・ヒースと保守党(一九七三年一〇月~一九七四年一月)
第五章 競合するエージェントたち 田中角栄と自民党(一九七三年一〇月~一九七四年一月)
第六章 分裂する政権党・分裂する内閣 ジェームズ・キャラハンと労働党(一九七六年四月~一九七七年一一月)
第七章 党内抗争の激化と閣内の平和 大平正芳と自民党(一九七八年一二月~一九八〇年五月)
終章 議院内閣制と首相の権力
あとがき

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