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デモクラシーを生きる

1831年5月、25歳のトクヴィルは初めてニューヨークに上陸した。旧大陸からの境界を踏み越えることによって、彼は人類が突入しつつある新しい状況を比較の視座において捉えることに成功した。すべての人を平等化し、同質化する巨大な力――彼はそれを「デモクラシー」と名づけた。〈デモクラシーの敵でも味方でもなく、その両義性をふまえて生き抜くこと〉、これが彼の選択であった。個人の個別性や異質性を拘束するものはもはや存在せず、思考と行動は自由であるが、個別性や異質性の基盤そのものが脅かされ、思考と行動の基準は自明でない。そのような状況を、「政治」の働きを再活性化することで、いかに乗り越えるか。本書は、現代社会をもその射程に含むデモクラシーという時代の中で、政治の持つ可能性を探る現代自由学芸の騎士による挑戦の書である。

【目次より】
まえがき
凡例
序 トクヴィルを位置づけ直す
予備的考察 トクヴィルをめぐる三つの文脈
(1) ポスト・ルソーの政治思想
(2) 「自由主義」の諸相
(3) 「一九世紀のモンテスキュー」
第一章 デモクラシーの時代 「個人主義」から「専制」へ
第一節 「個人主義」
第二節 「専制」
第三節 「社会」
第四節 理論的人間の批判
第二章 「政治」の諸要素
第一節 「政治的自由」
第二節 実践・判断・多元性
第三節 歴史と批判
第四節 「政治社会」
第三章 「政治」の実現へ
第一節 「正しく理解された自己利益」
第二節 法律と権利
第三節 習俗
第四節 制度の構想
補論的考察 トクヴィルの宗教観
結び 「政治」の再発見

参考文献