「ユ信と六朝文学」既刊・関連作品一覧
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【※ユ=まだれ+「諛」のつくり】分裂時代の社会的精神的危機を体験した作家達の表現行為を、彼らの倫理観・死生観との関係の中で考察すると共に、同時代の思想状況、特に流布し始めた仏教との関係を重視しつつ、六朝文学を独自の精神的課題をもった表現行為としてとらえ返す。修辞への偏重を精神史の中に位置づけ、修辞に過度に傾斜した人々、とりわけユ信が自己の文学に新生面をひらきえた理由と意味を解明。日本を含む東アジア全体の文化史を視野に収め、六朝後期文学の全体像を描く。
【目次より】
前言
序論 三国・六朝文学の課題
第一節 王粲の文学 宮廷詩人と流民の視座
第二節 阮籍「詠懐」詩の自我構造
第一部 東晉・宋代の詩人
第一章 陶淵明の文学
第一節 「形影神三首」詩と仏教
第二節 「雑詩十二首」における死生観
第二章 謝霊運の文学
第一節 謝霊運の資性と詩
第二節 謝霊運の「山居賦」の構造と仏教
第二部 ユ信の文学
第一章 ユ信の前半生の文学
第一節 前半生の銘と賦
第二節 南朝時代の詩の特質
第二章 「擬詠懐二十七首」の方法
第一節 「擬」と「詠懐」の方法
第二節 ユ信「擬詠懐二十七首」の方法
第三節 「擬詠懐」における自己像の形成
第四節 詠懐と叙事
第三章 後期の賦の特徴
第一節 「竹杖賦」における再生への希求
第二節 「哀江南賦」の表現構成 歴史と招魂
第四章 後期のユ信とその文学的立場
第一節 「擬連珠」四十四首の表現と論理
第二節 ユ信と北周勝王
第三部 ユ信以後の六朝文学
第一章 北周王族の文学と思索
第一節 北周趙王の文学 聖武天皇『雑集』を資料として
第二節 北周趙王へのユ信の影響
第二章 「羈旅の臣」の文学
第一節 江総の文学
第二節 顔之推の文学 「観我生賦」を中心に
あとがき