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文心雕龍の研究

『文心雕龍』は500年頃、劉キョウによって著わされた中国文学史上稀有な体系的文学理論の書である。儒道仏三思想の混在と思われがちな『文心雕龍』の、背後から支える一貫した論理とは何か。その根本的思考様式を、文学原論である冒頭五篇の検討を中心に解明、内容の充実よりも形式美を追求する六朝期の創作状況を批判した同時代人劉キョウの危機意識の根幹に、文章は現象世界同様に「道」が自ずと表れたものであるとの文章観があったことを描き出し、今後の研究がふまえるべき基礎理解を提供する、わが国初の本格的専著。

【目次より】
はじめに
第一章 奈良・平安時代(七一〇~―一九一)
一 『日本國見在書目録』
二 『懐風藻』
三 『文鏡秘府論』
四 『古今和歌集』眞名序
第二章 鎌倉・室町時代(一―九二~一五七三)
一 書冩本『五行大義』の紙背の引用
第三章 安土・桃山・江戸時代(一五七四~一八六七)
一 藤原惺窩『文章逹徳綱領』
二 日本最初の『文心雕龍』の版本
三 敬首和上『典籍概見』
四 齋藤正謙『拙堂文話』
五 海保漁村『漁村文話』
むすびにかえて
あとがき
初出誌一覧
江戸時代以前の日本における『文心雕龍』受容の歴史・略年表
日本における『文心雕龍』関係著書論文目録