「イギリス近世都市の「公式」と「非公式」」既刊・関連作品一覧
- 電子のみ
イギリス都市民の日常的営為から伝わってくるものは、高度に抽象化された政治社会思想の論理ではなく、規律が求められる公の場でさえも独自の生き様と気儘な自己表現が許される開放的な社会の雰囲気である。そこに垣間見る都市モラルの本質は、「公共善」を掲げる理想と私益を優先する個人的都合の狭間で起る妥協点の探り合いにある。こうした現実を直視するとき、「公」が善で「私」は悪という単純な二元論でなく、両者の補完関係に踏み込む新しい論理が必要となる。本書は、公と私が重畳するなか自治が実践される現代都市の源流を、一次史料をもとに先進国イギリスの経済拠点に見出しその構造を解明、都市化現象の歴史的意義を問う都市史学の新たな方法論を提唱する。
【目次より】
はしがき
図表一覧
文献略語一覧
序章
1 イギリス都市史 問題の所在
2 アプローチ
3 方法
4 史料
第一部 公式領域
序
第1章 権威
はじめに
1 都市,王権,地主
(i) 王権との関係
(ii) 地主との関係
(iii) 法人格のインパクト
2 都市自治体
(i) 市議会
(ii) 都市エリート層
結び
第2章 制度
はじめに
1 ギルド制
(i) 職業ギルドの機能
(ii) 職業ギルドの公式化
(iii) 都市民の制度認識
2 フリーメン登録制
(i) 皮革業・食品加工業の成長
(ii) 靴下製造業の胎動
結び
第3章 秩序
はじめに
1 市区
2 教区
(i) 宗教改革
(ii) 救貧行政
結び
第二部 非公式領域
序
第4章 貧困
はじめに
1 徒弟,女性,労働者
2 下層社会
(i) 移住民
(ii) 犯罪と騒擾
結び
第5章 取引
はじめに
1 郊外
2 トポグラフィー
3 商関係
結び
第6章 信用
はじめに
1 親族関係
2 隣人,友人関係,保護・被護
結び
第三部 混在域
序
第7章 空間
はじめに
1 公共的空間
2 私的空間
3 都市支配層の空間認識
結び
結論
文献目録