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ハイデガー 存在と行為

ハイデガーの『存在と時間』は存在論の書物である。では、『存在と時間』のよく知られた、〈大工職人がハンマーをふるう仕方や、人が生きていく上で下す選択のようなものを分析すること〉が、なぜ存在論をやっていることになるのか? 本書は読者を悩ませ続けながらもこれまで明確な答えの出ていないこの問いに、『存在と時間』における「存在と行為」の内的連関を解き明かすことで正面から答える。

【目次より】
序論
1 存在と行為 問題設定
2 「ハイデガーに実践哲学・倫理学なし」という批判について
3 「ハイデガーの実践哲学」研究の台頭について
4 研究方法
第一章 道具・事物・世界 実在問題の解体
1 実在問題と存在論的差異
2 道具の「自体存在」
3 道具的存在性と事物的存在性
4 世界の閃きと不安 実在問題の無意味さ
5 存在観念論説との最終対決 ハイデガーのフッサール批判
第二章 行為と自己理解 行為者性に対する実存論的アプローチ
1 行為とは何か 議論状況の概観
2 行為能力の理解 理解の存在者的意味
3 目的であるもの・有意味性・世界内存在 理解の存在論的意味
4 行為の共同性と自己理解 世人論の射程
5 動物でもなく主観でもなく 不安再説
第三章 道徳性の実存論的‐存在論的基礎 『存在と時間』におけるエートスの学
1 善悪に基づく責任概念に対する存在論的批判
2 自己統制と道徳的懐疑
3 責めある存在 道徳性の実存論的基礎
4 良心と決意性
5 他者の問題 道徳性の基礎付けの帰趨
6 『存在と時間』の行為概念 制作と実践の無差別化、その政治哲学的含意
第四章 幸福・死・時間性 ハイデガーとアリストテレス
1 ハイデガーによるアリストテレス幸福論の批判
2 完了存在としてのテロス
3 カイロス論的な時間
4 全体存在への問い 死の実存論的分析
5 本来性とフロネーシス 行為の時間性
6 行為者性と可死性
結論
1 本書の要約 2 今後の課題と展望

あとがき
文献表