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魯迅「故郷」の読書史

本書は1920年代に『新青年』に発表された短編「故郷」というテクストを不断に織りなしてきた20世紀中国の読書の歴史を通して70年にわたる国家イデオロギーの変遷を描く。それはテクスト生成過程に映じる近代中国文学の生産・流通・消費・再生産の物語なのである。

【目次より】
目次
はじめに 文学と〈想像の共同体〉
第一部 知識階級の「故郷」 中華民国期その1
I テクストの生産 一九二一年チリコフの翻訳
II 五・四新文化運動と新読者層
III エロシェンコの知識階級批判
IV 新聞文化欄と文芸誌の機能
V 書店網の拡大と『咽腋』の流通
第二部 教科書の中の「故郷」 中華民国期その2
I 「国文」科という制度
II 国語教科書の歴史
III 国語教室の「故郷」
IV 「事実の文学」と「気分の文学」 再生産としての批評
第三部 思想政治教育としての「故郷」 中華人民共和国期・毛沢東時代
I 新しい聖人と「唯人民独尊」
II 「語文」科の誕生と思想政治教育
III 「豆腐屋小町」の階級性
IV 真犯人を探せ
V 文革に追放された「故郷」
第四部 改革・開放期の「故郷」 中華人民共和国・鄧小平時代
I 国語教育の効率化と「文・道」論争
II 豆腐屋小町の名誉回復
III 閏土=犯人説の復活
IV 「私」の挿し絵
V 「主題思想」の復古と新種
VI 上海市中学の国語教室にて
結び 「歴史的懸案」のかなたヘ
あとがき

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