「トマス・アクィナスの神学」既刊・関連作品一覧

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トマス・アクィナスの神学

かつて波多野精一やバートランド・ラッセルによって、哲学に非ずと断定されたトマス・アクィナス。果たして、トマスの神学とは、どのような「学」であり、哲学はそれをどのように探究できるのだろうか。本書は、『神学大全』という一冊の書物と現代のわれわれとの間に立ちはだかる見えざる壁を打ち砕き、「人となった神」という受肉の神秘を中心に据えた探究の書として読みとく。トマス以後、中世末期から、神学と哲学、信仰と理性とが次第に分離、また「学」としての神学から神秘思想・霊性神学が徐々に分かれていくのに対し、トマスの神学はそうした相反する側面を統合しうるものであり、信仰から独立した知ではなく、信仰に基づいて成立する学であって、スコラ神学でありながら修道院神学の性格をも備えていたことを論証。その上で、『神学大全』における、存在そのものである神に至るまで徹底的に進められる存在(エッセ)の探究、自由意思と恩寵、創造と悪、人間の幸福と至福直観、そしてトマスの宗教(レリギオ)観、キリスト論、秘跡論へと考察を重ねて、彼の神学的探究の根本性格を解明する。長年にわたり『神学大全』の訳業に従事した著者の筆致を通し、"万人に共通の博士Doctor Communis"トマスが、善く生きるための知的探究を徹底的に行なうことを問いかける。存在論や認識論など哲学の課題のみならず、自由と悪、正義など政治や倫理の諸問題にも大きく関与し、現代の閉塞する思想状況に、豊かな示唆を与える画期的業績。

【目次より』
まえがき
序論 トマスの「神学」について
I トマス「神学」の再発見 II トマスの「神学理解」 神学・信仰・霊性 III 新しい統合の可能性
第一章 「一」なる神と「三・一」なる神
I はじめに トマス神学における神 II 「一」なる神につして III 三・一なる神について
第二章 創造とは何か
I 創造と救い II トマスの創造論 III 創造と悪の問題
第三章 人間の幸福について
I 人間論・幸福・神 II 幸福の願望と幸福の実現 III 至福直観
第四章 トマスの「宗教」観
I トマスのレリギオ概念 敬神・修道生活・祈り II キリスト教的敬神 信仰・希望・愛徳
第五章 トマスの神学的キリスト論
I 「受肉の神秘」の神学的探究 II 幼児イエスをめぐる神学的問題 III キリストの生涯 神学的考察 IV キリストの受難と死の神秘 V キリストの高挙(復活・昇天)について
第六章 トマスの秘跡論
I トマスの秘跡神学 II キリスト・教会・洗礼 トマスの洗礼 III トマスの聖体神学(1)IV トマスの聖体神学(2) V トマスの「悔悛」神学
結語
あとがき
用語解説