内容紹介
本書は、20世紀の日本を代表する哲学者・田中美知太郎(1902-85年)による生前最後の単行本です。
古代ギリシア哲学の専門家として、数々の著作や翻訳を送り出すとともに、日本西洋古典学会の設立に携わるなど、日本の哲学界の大きな礎を築いた著者が最後に残したのは、「古代哲学史」という単刀直入なタイトルを冠した1冊でした。全三部から成る本書の第I部では、万物の始源は「水」だと説いたタレス(前585年頃)に始まり、アナクシマンドロス、アナクシメネス、ヘラクレイトス、エンペドクレス、アナクサゴラスなどを経て、ソクラテス、プラトン、アリストテレスに至る哲学史の流れを大づかみにしてみせる「西洋古代哲学史」が収録されています。文庫版で100頁にも満たない分量で要点を的確に押さえた思想史を描く力量は、まさに出色です。
第II部では、古代哲学をより深く知りたいと願う読者のために碩学がアドバイスをする、という趣きを帯びています。残された哲学者たちの著作に触れる時に注意すべきこと、そして参考書や研究書を含めた読書案内まで、実践的な哲学ガイドとして役立つことでしょう。
そして、第III部には、著者が何度も改訂を繰り返してきたヘラクレイトスの残された断片の日本語訳が収録されています。ここに読むことのできる言葉は、時に謎めき、時に不思議な魅力を放つ、古来、多くの人たちを惹きつけてきたものです。
著者がその最期に読者に向けて贈った本書には、長年月にわたる研鑽の果実が惜しみなく凝縮されています。近年は政治論や文明論などに光をあてられることの多い偉大な学者の神髄に触れられる絶好の1冊です。学術文庫版には、田中美知太郎に思い入れを抱いてきた國分功一郎氏の解説を収録し、文字どおりの決定版となります。
[本書の内容]
I
西洋古代哲学史
古代アトム論の成立
II
古代哲学 一
古代哲学 二
III
ヘラクレイトスの言葉
あとがき
解 説(國分功一郎)
目次
- I
- 西洋古代哲学史
- 古代アトム論の成立
- II
- 古代哲学 一
- 古代哲学 二
- III
- ヘラクレイトスの言葉
- あとがき
- 解 題(國分功一郎)
関連シリーズ
-
夢と虹の存在論 身体・時間・現実を生きる
-
現代民主主義 思想と歴史
-
晩年のカント
-
ヴァレリー 芸術と身体の哲学
-
自然の哲学史
-
現象学の理念
-
我思う、ゆえに我あり デカルトの「方法序説」より
-
劣っていることは資産である アドラーの「個人心理学講義」より
-
プラグマティズム
-
自殺について
-
ツァラトゥストラはかく語りき
-
幸福について
-
デカルト、ホッブズ、スピノザ 哲学する十七世紀
-
デカルト形而上学の成立
-
マックス・ウェーバーを読む
-
超解読! はじめてのヘーゲル『法の哲学』
-
フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔
-
超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』
-
Jポップで考える哲学
-
はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
-
イソクラテスの修辞学校
-
哲学者ディオゲネス 世界市民の原像
-
プロティノス「美について」
-
語りえぬものを語る
-
自由意志の向こう側 決定論をめぐる哲学史
-
「人間以後」の哲学 人新世を生きる
-
ドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』を精読する
-
ローマの哲人 セネカの言葉
-
笑いの哲学
-
空想から科学へ―社会主義の発展―
-
贈与の系譜学
-
ミシェル・フーコー
-
暗黒の啓蒙書
-
ペルシア人の手紙
-
ルイ・ボナパルトのブリュメール18日
-
レヴィナス 「顔」と形而上学のはざまで
-
全体性と無限
-
「心の哲学」批判序説
-
詩としての哲学 ニーチェ・ハイデッガー・ローティ
-
名前の哲学
-
子どものための哲学対話
-
西田幾多郎の哲学=絶対無の場所とは何か
-
心にとって時間とは何か
-
現代の哲学
-
新しい哲学の教科書 現代実在論入門
-
「私」は脳ではない 21世紀のための精神の哲学
-
愛
-
資本主義に出口はあるか
-
解読 ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
-
箴言集
-
物質と記憶
-
技術とは何だろうか 三つの講演
-
創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで
-
神とは何か 哲学としてのキリスト教
-
言語と行為
-
天然知能
-
小学生のための正書法辞典
-
なぜ世界は存在しないのか
-
なぜ私は一続きの私であるのか
-
カントの「悪」論
-
「あなた」の哲学
-
哲学の練習問題
-
ラカンの哲学
-
「東洋」哲学の根本問題
-
哲学の最新キーワードを読む 「私」と社会をつなぐ知
-
三つの革命
-
リュシス・恋がたき
-
モンテーニュの書斎
-
「死ぬのが怖い」とはどういうことか
-
ゼノン 4つの逆理
-
ヨハネス・コメニウス
-
死に至る病
-
哲学塾授業 難解書物の読み解き方
-
アルキビアデス クレイトポン
-
読む哲学事典
-
法哲学入門
-
愉しい学問
-
科学の解釈学
-
スピノザの世界
-
デリダ 脱構築と正義
-
九鬼周造
-
論理学
-
来たるべき内部観測
-
差別感情の哲学
-
美学
-
哲学する心
-
精読 アレント『全体主義の起源』
-
ドイツ観念論 カント・フィヒテ・シェリング・ヘーゲル
-
弁証法とイロニー 戦前の日本哲学
-
闘うための哲学書
-
〈弱さ〉のちから ホスピタブルな光景
-
ハンナ・アレント
-
デカルト哲学
-
わたしの哲学入門
-
ベルクソン=時間と空間の哲学
-
まんが 哲学入門――生きるって何だろう?
-
古代ギリシアの精神
-
フッサール 起源への哲学
-
純粋理性批判
-
バカロレア幸福論 フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン
-
生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想
-
アリストテレスの人生相談
-
情緒と創造
-
お茶席の冒険
-
哲学で解くニッポンの難問
-
超解読! はじめてのフッサール『現象学の理念』
-
デカルト=哲学のすすめ
-
ゲーデルの哲学
-
ハイデガ-入門
-
私・今・そして神
-
イマジネール 想像力の現象学的心理学
-
ニーチェとの対話 ツァラトゥストラ私評
-
世界史の哲学講義
-
ヘーゲルを総理大臣に!
-
〈子ども〉のための哲学
-
生き方と哲学
-
反哲学史
-
道徳を基礎づける
-
モンテーニュ よく生き、よく死ぬために
-
ヘーゲル「精神現象学」入門
-
アリストテレス「哲学のすすめ」
-
幸福の哲学 アドラー×古代ギリシアの智恵
-
対話の哲学 ドイツ・ユダヤ思想の隠れた系譜
-
ヘ-ゲル『精神現象学』入門
-
内乱の政治哲学
-
欲望論
-
心という難問
-
「不思議の国のアリス」の分析哲学
-
哲学な日々
-
あるようにあり、なるようになる
-
キェルケゴールの日記 哲学と信仰のあいだ
-
哲学者たちのワンダーランド 様相の十七世紀
-
中学生の君におくる哲学
-
哲学の基礎
-
ソクラテスと朝食を 日常生活を哲学する
-
知ること、黙すること、遣り過ごすこと 存在と愛の哲学
-
精神の哲学・肉体の哲学 形而上学的思考から自然的思考へ
-
西洋の哲学・東洋の思想
-
事典・哲学の木
-
哲学の教科書
-
解体新書
-
ソクラテスの弁明・クリトン
-
ソクラテス以前の哲学者
-
哲学以前
-
西洋哲学史
-
新しいヘーゲル
-
ラカンの精神分析
-
哲学の謎
-
哲学の歴史
-
哲学入門一歩前-モノからコトヘ
-
哲学のすすめ
-
分析哲学入門