「デカルト形而上学の成立」既刊・関連作品一覧

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デカルト形而上学の成立

「私はあり、私は実在する」という認識は、「すべての認識のうちで最も確実で最も明証的」である。――近代哲学の父ともいわれるデカルトのこの哲学とは、いったい何なのか。神の存在証明とは? 書簡・小篇から主著『省察』まで、細密に読み解き、デカルトの形而上学が成立した道筋を詳細に辿り、その本質を「観念(イデア)」論としてとらえた画期的力作! (講談社学術文庫)


「私は実在する」とはどういうことか。神が存在するとは?
四つの書簡から、「方法序説」『省察』まで、精緻に読み抜いた「これこそがデカルト」!

「私はあり、私は実在する」という認識は、「すべての認識のうちで最も確実で最も明証的」である。
――近代哲学の父ともいわれるデカルトのこの哲学とは、いったい何なのか。神の存在証明とは? 書簡・小篇から主著『省察』まで、細密に読み解き、デカルトの形而上学が成立した道筋を詳細に辿り、その本質を「観念(イデア)」論としてとらえた画期的力作!

「私」は間違えたことがある。疑いの道の始まりにはこのことがある。真であるか、偽であるかわからないから疑う。知らないから疑う。知らないと知っているわけではない。疑うことをとおして、疑うことの理由を見出すことをとおして、なぜ知らないのかわかる。「私はあり、私は実在する」。これはどのようにしても、どこからみても疑いえぬ立言である。疑うことは「思うこと」である。疑いつつ疑いえぬとわかる。「私は思うものである」。このことは揺るがない。確実である。しかし、知識として確実であるということとは異なる。――<本書より>

※本書の原本は、1990年、勁草書房より刊行されました。