内容紹介
1994年にノーベル文学賞を受賞した大江健三郎は、その受賞後に数々の傑作・問題作を書きつづけた、世界的に稀有な小説家だが、とくに2000年の『取り替え子』から東日本大震災を経て2013年に完成した『晩年様式集』へと至る「晩年の仕事」(レイト・ワーク)は、透徹した知性で時代を見据えた予言的で豊饒な作品群である。この、さまざまな文学的技巧やたくらみに満ちた難解な作品群を、ときにセルバンテス、フローベール、プルースト、ジョイス、エリオット、ナボコフ、渡辺一夫、埴谷雄高、大岡昇平らの作品や言葉に触発され、ときに大江の盟友サイードとの友情と文学に導かれながら繙いていく。大江健三郎の真の偉大さを明かす、力作評論。
製品情報
製品名 | 大江健三郎と「晩年の仕事」 |
---|---|
著者名 | 著:工藤 庸子 |
発売日 | 2022年03月24日 |
価格 | 定価:3,300円(本体3,000円) |
ISBN | 978-4-06-526042-5 |
判型 | 四六変型 |
ページ数 | 482ページ |
初出 | <ドン・キホーテからロリータへ――大江健三郎と「晩年の仕事(レイト・ワーク)」>…2019年11月号、<『取り替え子(チェンジリング)』――人生の窮境と小説を書くこと>…2020年2月号、<『憂い顔の童子』――セルバンテス、ジョイス、古義人>…2020年5月号、<とりあえずのしめくくりとしての『さようなら、私の本よ!』>…2020年9月号、<「戦後民主主義」と『水死』>…2020年12月号、<『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』――十年後に読む「カタストロフィー小説」>…2021年3月号、<「戦後の精神」について>…2021年6月号。※単行本化にあたり、<ドン・キホーテからロリータへ>を改稿、「序章 読みなおすこと(リリーディング)」と「第四章 『﨟(らふ)たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』――女たちの声」へと再構成し、また、章タイトルの一部を改題しました。 |
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