「新しい小説のために」既刊・関連作品一覧

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新しい小説のために

小説の中の「私」とは、誰なのか?

新世代の小説家たちが切り開いてきた現代文学の新たな地平の持つ意味を、
小林秀雄以来の文芸理論を徹底的に検証しつつ探った、まったく新しい小説論。

「役割を終えた」近代文学を更新する!

渡部直己と私の対立の軸は「産出性=こう書くゆえに、世界はこう生まれる」と「再現論=世界がこう見えるから、こう書く」のいずれに軍配を上げるか、ということになるのだが、私は依然として、むしろ今や(今こそ)重要なのは後者、つまり「世界がこう見えるから、こう書く」「見たままを書いている」の方なのだと考えており、(中略)要するに「見たまま」ということ自体が変化しているのだ。そして「見たままを書いている」とは、すなわち「私が見たままを書いている」ということである。とすれば、この「私」もまた変化しているのではあるまいか。私が「新しい『小説』のために」で論じてきた「描写」や「人称」に続いて「私小説」を問題にしなくてはならないと思い至ったのは、これが理由である。
――第二部「新・私小説論」より