「正宗白鳥 その底にあるもの」既刊・関連作品一覧

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正宗白鳥 その底にあるもの

生と死、神の存在を問い続けた、クリスチャン正宗白鳥の信仰の真実に迫る!

自然主義の代表的作家として、人生虚妄を唱えた冷徹なニヒリスト・正宗白鳥の死を契機に、彼が青年時代に棄教したキリスト教に復帰したのかどうかが、人々の関心を集めた。文芸評論に幅広い活躍をした著者が、「白鳥は終始クリスチャンだった」という観点で、白鳥の小説や深い影響力をもった内村鑑三、トルストイの作品等を読み解き、白鳥文学の深層に潜む、信仰と魂の問題、作家の人生を探った独自の作家論。

富岡幸一郎
一見するとこの白鳥論は、白鳥のキリスト教への「入信」と「棄教」そして「信仰復活」(白鳥は自らの葬儀を自分の意志でキリスト教会において行なった)という、一人の文学者の内面の変遷と信仰への葛藤を辿り描いており、事実その通りなのだが、その背後には正宗白鳥という個性的な作家の問題をこえた、より広く深い「魂」についての問いがあったのではないだろうか。――<「解説」より>