内容紹介
講談社創業100周年企画「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版。第3回配本の第5巻は、220年の後漢滅亡から隋の天下統一(589年)にいたる大分裂の時代を取り上げる。
前漢・後漢の400年の大帝国は、後漢末期の混乱の中に崩壊し、魏・蜀・呉が争う三国時代を経て、晋の司馬炎による再統一をみるが、まもなく匈奴・鮮卑・羯・羌など異民族の大侵攻を招いていわゆる「五胡十六国」の大混乱時代に突入する。
華北はやがて鮮卑が建てた北魏が統一し(439年)、東魏、西魏、北斉、北周と興亡を繰り返す。一方、江南には漢民族の王朝である宋に続き、斉、梁、陳と次々に王朝が交替する。胡漢の勢力がたがいにしのぎを削るなかで、華北では雲岡や龍門の壮麗な石窟寺院が営まれ、江南には建康(現在の南京)を中心に陶淵明、顧ガイ之らで名高い六朝文化が栄える。
この魏晋南北朝時代は、日本列島には邪馬台国や倭の五王が登場し、朝鮮半島には高句麗・百済・新羅が興って、東アジアの「世界秩序」が形成された。その中心をなす「中華」も分裂と融合を繰り返し、非漢民族が漢化(中国化)するなかで拡大し、新たな中華世界を形作っていったのである。現代に続く中華意識と民族問題を視野に、東アジア世界の秩序の源流へとさかのぼる一冊。〔原本:2005年2月、講談社刊〕
目次
- はじめに
- 第一章 魏晋南北朝時代の幕開け
- 第二章 胡漢の抗争
- 第三章 胡漢の壁を越えて
- 第四章 江南貴族制社会
- 第五章 南朝後期の政治と社会
- 第六章 江南の開発と民族間抗争
- 第七章 北魏孝文帝の改革
- 第八章 北朝後期の政治と社会
- 第九章 古代東アジアと日本の形成
- 第一〇章 中華世界の拡大と「新」世界秩序
- 学術文庫版のあとがき
- 主要人物略伝
- 歴史キーワード解説
- 参考文献
- 年表
- 索引
製品情報
製品名 | 中国の歴史5 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝 |
---|---|
著者名 | 著:川本 芳昭 |
発売日 | 2020年12月11日 |
価格 | 定価 : 本体1,300円(税別) |
ISBN | 978-4-06-521906-5 |
通巻番号 | 2655 |
判型 | A6 |
ページ数 | 432ページ |
シリーズ | 講談社学術文庫 |
初出 | 本書の原本は、2005年2月、小社より刊行されました。 |
関連シリーズ
-
アステカとインカ 黄金帝国の滅亡
-
シルクロード世界史
-
ペルシア帝国
-
ノモンハン 責任なき戦い
-
楊貴妃 大唐帝国の栄華と滅亡
-
海賊の大英帝国
-
新書アフリカ史
-
オスマン帝国の解体
-
新しい中世 相互依存の世界システム
-
十二世紀のルネサンス
-
世界探検史
-
モンゴル帝国誕生
-
ソビエト連邦史
-
世界大恐慌 1929年に何がおこったか
-
都市の起源
-
世界史とヨーロッパ
-
世界史の図式
-
世界のなかの日清韓関係史-交隣と属国、自主と独立
-
ピラミッドへの道 古代エジプト文明の黎明
-
ギリシア文明とはなにか
-
古代エジプト文明 世界史の源流
-
世界人名物語――名前の中のヨーロッパ文化
-
海洋帝国興隆史 ヨーロッパ・海・近代世界システム
-
世界史再入門 歴史のながれと日本の位置を見直す
-
トロイア戦争全史
-
文明の十字路=中央アジアの歴史
-
最後のロシア皇帝ニコライ二世の日記
-
ティムール帝国
-
アテネ民主政 命をかけた八人の政治家
-
近代ヨーロッパの誕生 オランダからイギリスへ
-
モンゴル帝国の興亡
-
月下の犯罪 一九四五年三月、レヒニッツで起きたユダヤ人虐殺、そして或るハンガリー貴族の秘史
-
クイズで入門 ヨーロッパの王室
-
息子を国王にした女たち フランス宮廷凄腕ママ
-
明治二十一年六月三日─鴎外「ベルリン写真」の謎を解く
-
ローマ帝国と地中海文明を歩く
-
東アジア世界の歴史
-
隋唐世界帝国の形成
おすすめの本
-
電子あり
興亡の世界史 地中海世界とローマ帝国
-
ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿 科学者たちの生活と仕事
-
電子あり
十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め
-
電子あり
経済学の思考法 稀少性の経済から過剰性の経済へ
-
電子あり
山に立つ神と仏 柱立てと懸造の心性史
-
電子あり
続 まんが パレスチナ問題 「アラブの春」と「イスラム国」
-
電子あり
天皇の歴史1 神話から歴史へ
-
電子あり
大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済
-
電子あり
戦後的思考
-
電子あり
世界探検史
-
電子あり
興亡の世界史 東インド会社とアジアの海
-
電子あり
戦国大名の経済学