「インカ帝国の虚像と実像」既刊・関連作品一覧

インカ帝国の虚像と実像

南北4000キロを覆う強大な帝国。万世一系の「太陽の御子」が平和裡に治める黄金郷。このイメージは、スペイン人が描いた虚像だった。忘れられた記録、インディオの証言が浮かびあがらせる、不安定な王権、血塗られた戦乱、被支配民の反感。最新の史料により錯綜するイメージを解きほぐし、真のインカ像に迫る。

ヨーロッパが創った虚構を暴く
「ローマのような大帝国」「王は絶対君主」「近親婚」──通説を覆し、真のインカ像に迫る!

【目次】
プロローグ
第一章 ペルー王国の「発見」まで
1 クロニカとは何か
2 「南方の偉大な国」に関する最初の情報
3 クロニスタの「創作」
4 征服に値する「偉大な王国」
第二章 征服者たちの描いたペルー王国 一五三〇年代
1 最初のペルー王国像
2 フランシスコ・ロペス・デヘレス 最初の公式クロニスタ
3 ミゲル・デ・エステーテ 「帝国」像の萌芽
4 ペドロ・サンチェス・デ・ラ・オス インカの「起原」に関する最初の記録
5 征服者の書簡と回顧録に書かれたペルー王国
第三章 インカ「帝国」像の誕生 一五四〇~五〇年代
1 『キオウカマヨクの報告書』 「専制国家」インカ
2 アグスティン・デ・サラテ 「インカ帝国」の登場
3 ペドロ・デ・シエサ・デ・レオン 「帝国」イメージの確立
4 フワン・ディエス・デ・ペタンソス 完成された「国家」としてのイメージ
第四章 暴かれる「インカ帝国」の虚像
1 「インカ帝国」像の変遷
2 「誤読」はなぜ生じたか インカ国家の成立時期とチャンカ戦争
3 インディオの言説の不一致 インカ王の性格をめぐって

エピローグ
主たる参考文献・参照文献

あとがき
索引
・「専制国家」インカ
・「帝国」イメージの確立
・暴かれる「インカ帝国」の虚像