内容紹介
花袋『蒲団』を一刀両断。明晰な論理で描く日本近代リアリズム興亡史ーー「『破戒』から『蒲団』にいたる道は滅びにいたる大道であったと云えましょう」。日露戦争の直後に起こった文壇の新気運のなかで、その後の日本文学の流れを決定づける2作品が誕生した。日本の近代リアリズムはいかに発生し、崩壊したのか。自然主義から誕生した私小説が、日本文学史に与えた衝撃を鋭利な分析力で解明し、後々まで影響を与えた、古典的名著。※本書は、1969年5月改版新潮文庫『風俗小説論』を底本としました。
〇千葉俊二 圧巻は何といっても小栗風葉の「青春」、島崎藤村の「破戒」、田山花袋の「蒲団」を取りあげながら、日本における「近代リアリズムの発生」を論じた最初の章である。中村は、誰にでも多くの可能性をはらんだ青春の一時期があるように、時代精神の巨大な流れのなかにもそうした時期があり、夏目漱石が「吾輩は猫である」を発表した一九〇五年から、花袋が「蒲団」を書いた一九〇七年までが、まさに明治文学史における青春期だったと指摘する。――<「解説」より>
製品情報
製品名 | 風俗小説論 |
---|---|
著者名 | 著:中村 光夫 |
発売日 | 2011年11月11日 |
価格 | 定価:1,320円(本体1,200円) |
ISBN | 978-4-06-290141-3 |
判型 | A6 |
ページ数 | 208ページ |
シリーズ | 講談社文芸文庫 |
初出 | 1969年5月改版新潮文庫「風俗小説論」を底本とし、多少ふりがなを加えた。本文中明らかな誤記、誤植と思われれる箇所は正したが、原則として底本に従った。 |
関連シリーズ
-
慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り
-
新古今の惑星群
-
それを小説と呼ぶ
-
人間とは何か 偏愛的フランス文学作家論
-
村上春樹の世界
-
テクストから遠く離れて
-
石坂洋次郎の逆襲
-
生きつづけるキキ ひとつの『魔女の宅急便』論
-
異邦の香り ネルヴァル『東方紀行』論
-
小林秀雄の悲哀
-
この百年の小説 人生と文学と
-
物語批判序説
-
芥川龍之介と太宰治
-
読書の極意と掟
-
大江健三郎柄谷行人全対話
-
意味という病
-
小林秀雄と中原中也
-
写生の物語
-
現代詩試論/詩人の設計図
-
文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか
-
光の曼陀羅 日本文学論
-
「私小説」を読む
-
柄谷行人インタヴューズ
-
マス・イメージ論
-
恋と日本文学と本居宣長・女の救はれ
-
柄谷行人蓮實重彦全対話
-
転々私小説論
-
アレゴリーの織物
-
反文学論
-
斎藤茂吉ノート
-
小林秀雄全文芸時評集
-
正宗白鳥 その底にあるもの
-
柄谷行人中上健次全対話
-
常識的文学論
-
書物の解体学
-
折口信夫文芸論集
-
文学の楽しみ
-
対談 文学の戦後
-
文学のプログラム
-
日本近代文学の起源
-
文学概論
-
堀辰雄覚書・サド伝
-
世界の読者に伝えるということ
-
歴史小説の懐
-
乱歩と正史
-
中原中也
-
「文学の言葉」を恢復させる
-
新しい小説のために
-
女の子を殺さないために解読濃縮還元100パーセントの恋愛小説
-
イロニアの大和
-
ハイスクール・ブッキッシュライフ
-
変身放火論
-
與謝蕪村
-
内部の人間の犯罪 秋山駿評論集
-
坂口安吾と中上健次
-
1946・文学的考察
-
対談・文学と人生
-
作家は行動する
-
花づとめ
-
江藤淳 小林秀雄
-
自伝の世紀
-
大衆文学論
-
現代詩人論
-
われもまた おくのほそ道
-
俳人蕪村
-
日本の文学論
-
日本浪曼派批判序説
-
近代日本の批評
-
文学人生案内
-
東西文学論・日本の現代文学
-
二葉亭四迷伝
-
畏怖する人間
-
わがスタンダール
-
志賀直哉私論
-
新美南吉の世界
-
日本人の自伝
-
スカトロジア(糞尿譚)
-
立原道造の世界
-
事実と創作
-
山本健吉 柿本人麻呂
-
筒井康隆入門