内容紹介
昭和天皇は、その生涯に三度、焦土に立った。皇太子として訪れた欧州の、第一次世界大戦の激戦地。摂政として視察した関東大震災。東京大空襲で焦土と化した東京。こうした体験は、「戦争と平和」をめぐる天皇の観念に何を及ぼしたのか。激動する国際情勢のなかで、天皇はどのように戦争に関わり、歴史の「動力」となっていったのか。そして、「昭和の戦争」は、平成の天皇に何を残したのか。「象徴天皇の時代」を大幅に加筆!
講談社創業100周年記年企画として刊行され、高い評価を得たシリーズの学術文庫版、第8巻。本巻では、昭和天皇とその時代を「戦争」との関わりを中心に描く。文庫化にあたり、「補章」として「象徴天皇の昭和・平成」ほか、約70ページを加筆した。
20世紀初頭の1901年に誕生した迪宮裕仁は、生涯に三度、焦土に立つ運命にあった。最初は、皇太子として訪れたヨーロッパの、第一次世界大戦の激戦地。二度目は摂政として視察した関東大震災の被災地。そして三度目は、天皇として体験した東京大空襲で焦土と化した東京である。こうした体験は、天皇の「戦争と平和」をめぐる観念に何を及ぼしたのか。激動する国際情勢のなかで、総力戦の意味を知る天皇はどのように戦争に関わり、歴史の「動力」となっていったのか。87年の生涯を通じて、苛酷な戦争と戦後の繁栄を経験した天皇が生きた「近代」という時代と、敗戦後の「退位論」浮上の背景を究明する。新たに加筆した「補章」では、近年、公開が進む「昭和天皇実録」をはじめとする新資料を通して、「昭和の戦争」が平成の天皇に残したものを検証し、「新憲法」「平和」「アメリカ」「沖縄」などの視点から、「戦後の天皇が象徴するものは何か」を考察する。
[原本:『天皇の歴史08巻 昭和天皇と戦争の世紀』講談社 2011年刊]
目次
- 学術文庫版のまえがき
- はじめに
- 序章 昭和天皇とその時代
- 第一章 大正期の政治と宮中の活性化
- 第二章 昭和の船出と激動する世界
- 第三章 内なる戦い
- 第四章 大陸と太平洋を敵として
- 終章 戦いすんで
- 補章 象徴天皇の昭和・平成
- 学術文庫版のあとがき
製品情報
製品名 | 天皇の歴史8 昭和天皇と戦争の世紀 |
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著者名 | 著:加藤 陽子 |
発売日 | 2018年07月12日 |
価格 | 定価 : 本体1,490円(税別) |
ISBN | 978-4-06-512290-7 |
通巻番号 | 2488 |
判型 | A6 |
ページ数 | 504ページ |
シリーズ | 講談社学術文庫 |
初出 | 本書の原本は、2011年8月、小社より単行本として刊行されました。文庫化にあたり、「補章」等を加筆しました。 |
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