内容紹介
かつて、「歴史」を必要としたのは権力者だった。権力者は自らの支配を正当化するために歴史を書かせた。歴史家は往々にして、権力者に奉仕する者だったのである。しかし、近代歴史学の使命は、権力を監視し、批判することにこそある。近代世界の覇権を握った西洋文明を相対化し、西洋中心史観と中華主義からの脱却を訴える、白熱の世界史講座。
近代以前の世界では、中央ユーラシア諸民族の動向が、歴史を動かしていた。騎馬遊牧民はどのように登場し、その機動力と経済力は、いかに周辺諸国家に浸透していったのか。シルクロードのネットワークを媒介とした「前近代世界システム論」とは。ソグド人やウイグル人のキャラバン交易や、キリスト教の最大のライバルだったマニ教の動向などを、ユーラシア各地に残る古文書、石碑の読解から得たオリジナルな研究成果をもとに解明していく。そこから見えてくるのは、あらゆるモノは歴史的所産であり、文化・言語・思想から、政治・経済活動まで、すべては変化し混ざり合って生み出され、純粋な民族文化や普遍的な国家など存在しない、という真実である。さらに、近年日本で発見されて世界的な注目を浴びるマニ教絵画から、日本伝来の史料で明らかになるシルクロードの実像まで。「興亡の世界史」シリーズ最大の話題作『シルクロードと唐帝国』の著者による、待望の書下ろし。
目次
- 序章 世界史を学ぶ理由
- 1 歴史を必要とするのは誰か
- 2 歴史と権力・権威・宗教
- 3 現代歴史学の使命
- 第一章 ユーラシア世界史の基本構造
- 1 人類史の潮流
- 2 歴史時代の始まり──農業革命から鉄器革命へ
- 3 戦争・交流・グローバル化の時代──騎馬遊牧民の登場から現代まで
- 第二章 騎馬遊牧民の機動力
- 1 馬の家畜化
- 2 ユーラシアの民族大移動
- 第三章 シルクロードの世界システム論
- 1 前近代の世界システム
- 2 遊牧国家とシルクロード
- 第四章 ソグドからウイグルへ
- 1 宗教の道
- 2 ソグドとウイグルの接点
- 3 マニ教から仏教へ
- 第五章 ウイグル=ネットワークの活況
- 1 古ウイグル語文書を解読する
- 2 キャラヴァンの往来と社会生活
- 第六章 シルクロードと日本
- 1 シルクロードの終着点
- 2 マニ教絵画の日本伝来
製品情報
製品名 | シルクロード世界史 |
---|---|
著者名 | 著:森安 孝夫 |
発売日 | 2020年09月11日 |
価格 | 定価 : 本体1,650円(税別) |
ISBN | 978-4-06-520891-5 |
通巻番号 | 733 |
判型 | 四六 |
ページ数 | 232ページ |
シリーズ | 講談社選書メチエ |
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