内容紹介
「歪んだ真珠」を意味する語として生まれた「バロック」は、「粗野な」、「劣った」というニュアンスを帯びて使われる一方で、バッハやベルニーニに代表される雄大壮麗な作品とともに知られてもいる。──では、「バロック」とはいったい何か? 西洋美術史研究の第一人者が、多彩な時代と分野を縦横無尽に駆けめぐり、本質に迫っていく旅の記録。多数の図版を収録した原本に、さらに新たな図版を加えた決定版が登場!
「バロック」という言葉を目にして、何を思い浮かべるだろうか?
もともと「歪んだ真珠」、「いびつな真珠」を意味する形容詞として生まれた「バロック」という言葉は、「粗野な」、「劣った」、「価値の低い」というニュアンスを帯びて使われるようになった。しかし、その一方で、バッハに代表される「バロック音楽」や、サン・ピエトロ大聖堂前の広場に見られる列柱廊に代表される「バロック建築」など、雄大にして壮麗な作品群が「バロック」の名で呼ばれてもいる。
──では、「バロック」とはいったい何なのか?
パリのポンピドゥー・センターの建築から始まる本書は、西洋美術史研究の第一人者が、音楽や建築にとどまらず、美術、演劇、文学にまで及ぶ多彩な分野を、さまざまな時代にわたって縦横無尽に駆けめぐりながら、バロックの本質に迫っていく魅惑の旅の記録である。ジャンルとしての「バロック」でもなく、時代区分としての「バロック」でもなく、現代にまで至る全時代に見て取られるものとしての「バロック」を、無数の作品を渉猟しながら求めていった先には、現代こそバロックの時代である、という事実が浮かび上がる。
多数の図版を収録した原本に、さらに新たな図版を加えた決定版が登場!
目次
- 序 章 バロックと現代
- 第1章 歪んだ真珠──バロックとは何か
- 第2章 静謐な形態感覚──古典主義
- 第3章 不安の幻想と綺想の魅惑──マニエリスム
- 第4章 大衆教化のイメージ戦略──対抗宗教改革
- 第5章 真実追求の精神──自然主義
- 第6章 強烈な演出効果──光と闇
- 第7章 溢れ出るダイナミズム──装飾と動勢
- 第8章 二重構造の世界──写実性と超越性
- 第9章 肉体の悲哀と魂の歓喜──苦悩と法悦
- 第10章 貴族となった芸術家──宮廷絵画
- 第11章 新しいパトロンたち──市民絵画
- 第12章 拡大する空間意識──都市と建築
- 第13章 夢の祝祭世界──文学・音楽・演劇
- 第14章 生きる歓びの表現──ロココの美術
- 第15章 永遠のバロック──新古典派とロマン派
- あとがき
- 学術文庫版へのあとがき
- 人名・作品名索引
製品情報
製品名 | バロックの光と闇 |
---|---|
著者名 | 著:高階 秀爾 |
発売日 | 2017年11月11日 |
価格 | 定価 : 本体1,130円(税別) |
ISBN | 978-4-06-292464-1 |
通巻番号 | 2464 |
判型 | A6 |
ページ数 | 344ページ |
シリーズ | 講談社学術文庫 |
初出 | 本書の原本は、2001年に小学館から刊行されました。 |
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