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記憶

なぜ一杯の紅茶から、「記憶の大伽藍」が出現しうるのか?記憶とは、刻印の「集積」ではなく、「生成」しつづけるダイナミックスなシステムである。
回想、追憶、想起がもつおどろくべき創造力に光をあて、アートの現場、歴史認識、言語状況を横断しながら、終りなき構築としての「記憶」を透視する。
サントリー学芸賞受賞作!

【目次】
プロローグ 記憶の生成論
第一章 記憶と創造
1 神経ダーウィニズム
2 デ・クーニングの”白い部分”
3 ノスタルジア
4 場と記憶術
第二章 回想の力
1 金色の石 ジャコメッティ一九四六年の記憶について
2 鏡の国のリリパット シャルル・マットンの小さな部屋
3 発火する記憶樹 ビル・ヴィオラと記憶のエレメント
第三章 写真と不在
1 太陽の記憶 気象・印象・抽象
2 写真の誕生
3 黒い鳥 不在を探す写真家
第四章 想起する歴史
1 記憶の歴史
2 歴史の遺失物係
3 平行史 歴史のリサイクルについて
4 バベルの年代記
エピローグ 文化としての記憶系
註および参考文献
あとがき
索引