おれはなぜ二度も人を殺したのか。七十六歳で故あって二度目の殺人を犯し四年、いま獄中にある男は静かに語り始める。昭和初頭、炭鉱の島に生まれ坑夫となった緒方一義は隣人を殺し、一度目の獄につながれた。彼が手にかけた…

羽毛のかわりに女性の体毛をつめた寝具にくるまれて、死の国へ旅立つ……愛する妻に先立たれ、長い生をすごす老人は、途方もない計画に取り憑かれる。死を迎えんとした時、意志に反して救われ、病室に繋がれた自称百九歳の老人は妄…

昭和５年に、九州の宇根島で生まれ、炭鉱夫をしていた緒方一義。戦後、隣家に募集鉱夫として越してきた浦川の妻、久子に憧れ、想いをいだく。だが浦川が緒方の母と無理やり関係を持ったことで、緒方は浦川を殺してしまう。そして刑務…

夢中になれる長さです。豪華作家の競宴、「１０分で読める」短篇官能小説集。 四ヵ月の別居を経た夫婦が、極限まで妄想を膨らませてたどりついた夜を描いた「ひとつになるまでの時間」(石田衣良)。見目麗しい道場仲間が女だと疑った…

粋にみだらに艶やかに江戸の夜は更けていく 2人の女郎が垣間見る性の奥行き／寺子屋の女師匠にご隠居が惚れた／由比三四郎の性の目覚め／あそこの匂いを金木犀の香りと喩えた男／奇妙な色香を放つ婆さんの昔話／借金は女房の躯で／薬師が娘…