矢部駿河守を失脚させて新任された南町奉行・鳥居甲斐守の追及の手はきびしくなり、八丁堀の同心・笠間重兵衛の執拗な網は、色と欲をからませて、はだか長屋の周辺から江戸中にひろがる。根岸の里で尾行を撒いた大川忠介は、駈け込んだ山村梅翁の茶室で、事件の発端となったお美也にめぐり会う。お杉をねらう悪徳豪商・佐原屋は刺殺されたが、お杉には笠間重兵衛の好色の眼が光る。難を避けて江戸を離れた大川忠介が、旅先で知り合ったおつねを連れて浅草の常陸屋を訪ねると……。事件の謎のひろがりと人間関係の複雑さが、大川忠介をして、さらに危地に追いやるのだった……。<全8巻>
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