あるところに、ひとりぽっちの女のひとがいました。
「かわいい女の子がひとりほしいのです。どうすればいいのでしょう。」
女のひとは、魔法使いにそうだんしました。
「この種をまきなさい。」
魔法使いがくれたのは、ちいさな種。
女のひとは、植木ばちに種をまきました。
するとたちまち、芽がでて葉っぱがのびて、きれいな花がさきました。
花のなかにすわっていたのは、ちいさなかわいい女の子です。
アンデルセンの名作『おやゆびひめ』。
クローバーのかげでねむって、花のみつをたべ、
花びらにたまるつゆのしずくをのみものにしている、ちいさなおやゆびひめ。
ひきがえるや、もぐらのおよめさんになりたくなくて……
時代を超えて愛され続けてきた、いわさきちひろの名作えほんシリーズから、
愛らしい挿絵がとくに人気の『おやゆびひめ』が、
名久井直子の装丁でかわいいサイズの絵本になりました。
童話作家の立原えりかの端正な日本語は、小さい子どもたちへの読み聞かせにもぴったり。
手元においてときどきながめたくなる特別な1冊です。
*オールカラー 12点の絵を収録
*すべての漢字にふりがなつき
*本書は『いわさきちひろ・おはなしえほん(1)おやゆびひめ』(1984年刊行)を新装・改訂したものです。
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