15歳で著者の祖母は軍閥将軍の妾になる。中国全土で軍閥が勢力をぶつけあう1924年のことであった。続く満州国の成立。直前に生まれた母は、新しい支配者日本の過酷な占領政策を体験する。戦後、夫とともに共産党で昇進する母。そして中華人民共和国の成立後、反革命鎮圧運動の只中で著者は誕生する。
初めて明かされる『ワイルド・スワン』誕生秘話
母は何ヵ月にもわたって毎日毎日話しつづけました。祖母が軍閥将軍の愛妾だったこと、母が15歳で共産党の地下活動に加わったこと。母も祖母も、戦争や外国の侵略や革命や全体主義の暴政に翻弄されて波乱の歳月を生きてきたことを知りました。歴史の渦にもまれながら、母や祖母が命がけの恋をしたことも知りました。――<「2007年新版によせて」より>
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