忠臣蔵まで 「喧嘩」から見た日本人
チュウシングラマデケンカカラミタニホンジン

内容紹介
江戸以前、武士とはどうしようもない暴力的存在(野蛮なかぶき者)だった。本書は時代をさかのぼり、戦国期の武士を貫く行動原理がどのようなものであり、太平の時代になっていかに危険なものとなったかを明らかにする。そして、じつに赤穂事件こそが復讐の論理を忠義の論理に切り替える(すり替える)という、真にアクロバティックな思想的転換であったことを示す。
野口武彦氏にはすでに『忠臣蔵─赤穂事件・史実の肉声』(ちくま新書、現在はちくま学芸文庫)という傑作があります。そこでは事件の発端から終結まで、後世の潤色を取り去り、史料の叢から元禄の人間ドラマをよみがえらせました。
しかし、それだけでいいのか。ここから著者の新たな追跡がはじまります。
「後世の潤色」にはいろいろありますが、その最たるものは武士道というイデオロギーによるものです。忠義のベールに覆い隠された事件の本質はなんであり、それを取り去ったあとに残るものはなにか……。
それは自力救済と復讐の論理であり、武士という存在のどうしようもない暴力性です。ガルシア=マルケスのひそみに倣えば、「忠臣蔵」とは「元禄の予告された殺人の記録」なのです。
本書は時代をさかのぼり、主に戦国期の武士を貫く行動原理がどのようなものであり(野蛮であり、傾奇者であります)、太平の時代になり、権力にとっていかに危険なものとなったかを明らかにします。そして、じつに赤穂事件こそが復讐の論理を忠義の論理に切り替える(すり替える)という、じつにアクロバティックな思想的転換であったことを示します。
目次
- 元禄時代を読みなおす
- 意趣・鬱憤・赤面
- 喧嘩という習俗
- 喧嘩両成敗をさかのぼる
- 川中島合戦
- 甲陽軍艦と信玄家法
- 長篠合戦の神話
- 武士道の始原
- 葉隠とその未生以前
- 雑兵は語る
- 刈田狼藉
- 綱吉という男
- ほか
製品情報
製品名 | 忠臣蔵まで 「喧嘩」から見た日本人 |
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著者名 | 著:野口 武彦 |
発売日 | 2013年12月11日 |
価格 | 定価 : 本体2,200円(税別) |
ISBN | 978-4-06-218674-2 |
判型 | 四六変型 |
ページ数 | 290ページ |
初出 | 『小説現代』2008年2月号~2012年10月号に断続的に連載。単行本化にあたり、全面的に改稿、加筆している。 |