「ベルギー大使の見た戦前日本」既刊・関連作品一覧

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ベルギー大使の見た戦前日本

ことしは日本とベルギーが国交を結んでから150年。その間、バッソンピエールが在任した18年間は、日本の運命を決する致命的な諸契機が、歴史のページに次々に刻みこまれていった時代でした。大正天皇の病気、関東大震災、ワシントン、ロンドン両条約における軍縮問題、満洲事変と国際連盟脱退、相次ぐ要人の暗殺、五・一五事件と二・二六事件……。それらを外交官としてつぶさに観察した希有な記録、それが本書です。


本書はLe Baron de Bassompierre, Dix-huis ans d'Ambassade au Japon, Collection Armentor Libris, Bruxelles, 1945の翻訳です。
ことしは日本とベルギーが国交を結んでから150年にあたります。その間、さまざまなことがありましたが、初代大使(公使から昇格)のバッソンピエールが在任した18年間(1921~1939/大正10年~昭和14年)は、日本近代史上きわめて重大な時期にあたっています。それは、いわば日本の運命を決する致命的な諸契機が、歴史のページにつぎつぎに刻みこまれていった時代でした。着任早々に時の首相原敬が暗殺され、大正天皇の病気で皇太子裕仁が摂政の任につきます。バッソンピエールは裕仁に信任状を捧呈した最初の外交使節となりました。
ワシントン、ロンドン両条約における軍縮問題は英米への不満を鬱積させていきます。やがて満洲事変と国際連盟脱退、相次ぐ要人の暗殺、五・一五事件と二・二六事件……。それらをバッソンピエールはつぶさに観察していましたが、その日本人と国際情勢の分析にはきわめて興味深いものがあります。
一方で昭和天皇の即位の大礼や、外交団の東京や湘南、軽井沢や日光での社交など戦前の上流階級の暮らしぶりも描かれます。バッソンピエールは在日外交団の首席として知られ、新聞にもよく登場していました。
そしてなにより、1923(大正12)年の9月1日に遭遇した関東大震災の体験談はきわめて貴重なものです。
本書は外国人のみた戦前日本の記録として一流のものであり、文庫として多くの読者に読まれるべきものと信じます。