内容紹介
「シンギュラリティ」「IoTで豊かな未来」「鉄腕アトム」「ターミネーター」……私たちは、機械を愛し、憎んでいる。では機械のほうから「私たち」を見たらどうなる? テクノロジーと深く結びつく人間は、あらたな存在に生まれ変わっているのかもしれない。
人類学者カストロは、アマゾンにおける食人=カニバリズムを、「他者の視点から自らを捉え、自己を他者としてつくりあげるための営為」として描き出した。「機械カニバリズム」は、テクノロジーによって私たちが変容ゆくことを捉える試みである。将棋ソフトによってプロ棋士と将棋が、SNSによってコミュニケーションと社会が、いままさに変容しているなか、「人間」観そのものが刷新されていくべきなのだ。気鋭の人類学者が、「現在のなかにある未来」を探る、痛快かつ真摯な思考!
川上量生氏コメント――
わたしたちはAIが人間の能力を凌駕しつつある歴史的過程の中にいます。AIと人間とどちらが優れているのか、そういう問いが日常的に飛び交う世の中で過ごすのも、この時代に生を受けた運命としてはやむを得ないことでしょう。
しかしながら実際にはこの問いは、そもそも正しくなかったことが明らかになってきました。いったい「優れている」とはなにか? AIとはなにか? そしてなによりも人間とはなにか? という、より大きな疑問が頭をもたげてきたからです。人間とはそもそも優れているのか、機械とは、そしてAIとはなにが違うというのか。そして真実が明るみになったときに、人類ははたして結果を受け入れることができるのでしょうか。
いささか大袈裟ではありますが、人間社会がAIの時代を受け入れるための礎石にならん、という決意で始めた将棋電王戦を、本書はAI時代における社会的な役割から解き明かしてくれました。また、より大きな視点で、ニコニコ動画を含めたネット社会についても、人間と技術の関わりから、どう捉えるべきかを示してくれています。
こういう議論はまだまだ始まったばかりで、21世紀の人類の最大の哲学的テーマであると思う次第です。
【本書の内容】
現在のなかの未来
ソフトという他者
探索から評価へ
知性と情動
強さとは何か
記号の離床
監視からモニタリングへ
生きている機械
目次
- 第一章 現在のなかの未来
- 第二章 ソフトという他者
- 第三章 探索から評価へ
- 第四章 知性と情動
- 第五章 強さとは何か
- 第六章 記号の離床
- 第七章 監視からモニタリングへ
- 第八章 生きている機械
製品情報
製品名 | 機械カニバリズム 人間なきあとの人類学へ |
---|---|
著者名 | 著:久保 明教 |
発売日 | 2018年09月12日 |
価格 | 定価 : 本体1,650円(税別) |
ISBN | 978-4-06-513025-4 |
通巻番号 | 683 |
判型 | 四六 |
ページ数 | 224ページ |
シリーズ | 講談社選書メチエ |
関連シリーズ
-
快楽としての動物保護 『シートン動物記』から『ザ・コーヴ』へ
-
レヴィ=ストロース 構造
-
レイシズム
-
サピエンス日本上陸 3万年前の大航海
-
母系制の研究
-
ヒト、犬に会う 言葉と論理の始原へ
-
カミの人類学 不思議の場所をめぐって
-
純粋な自然の贈与
-
はだかの起原
-
我々はなぜ我々だけなのか
-
西太平洋の遠洋航海者
-
経済人類学
-
マイケル・ポランニー 「暗黙知」と自由の哲学
-
観光人類学の挑戦 「新しい地球」の生き方
-
ケガレ
-
人類史のなかの定住革命
-
儀礼としての消費 財と消費の経済人類学
-
パロール・ドネ
-
野生の科学
-
洞窟のなかの心
-
〈癒し〉のダンス 「変容した意識」のフィールドワーク
-
シヴァとディオニュソス 自然とエロスの宗教
-
狩猟と編み籠 対称性人類学2
-
文化の型
-
桃太郎の母
-
悲しき南回帰線
-
つい誰かに教えたくなる人類学63の大疑問
おすすめの本
-
電子あり
機械学習スタートアップシリーズ これならわかる深層学習入門
-
電子あり
無双航路 2 転生して宇宙戦艦のAIになりました
-
電子あり
イノベーターズ2 天才、ハッカー、ギークがおりなすデジタル革命史
-
電子あり
ぼくのネコがロボットになった
-
電子あり
記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門
-
電子あり
全体性と無限
-
トラウマ あなたが生まれてきた理由
-
電子あり
イラストで学ぶ 人工知能概論
-
怪盗クイーン 公式ファンブック 一週間でわかる怪盗の美学
-
電子あり
ローマの哲人 セネカの言葉
-
日本人の希望
-
電子あり
「人間以後」の哲学 人新世を生きる