「儀礼としての消費 財と消費の経済人類学」既刊・関連作品一覧

儀礼としての消費 財と消費の経済人類学

辻井喬氏による推薦のことば――
本書は消費を人間の活動のただ中に置くことで、消費についてばかりでなく、社会的活動に新しい光を当てた画期的論文である。世界で最も影響力のある人類学者のこの論文を読んで以来、私の中で消費は勿論のこと経済人類学そのものが新しい姿をもって現れるようになった。

人類学の巨匠メアリー・ダグラスが、「消費」と「財」という経済理論の難問に迫る。「財」の有用性を括弧に入れ、「財」を消費者の価値秩序を物理的に示す「標識(マーカー)」として、「消費」をコミュニケーションとして改めて定義する。ケインズ、ウェーバー、デューゼンベリー、フリードマン、エンゲル、レヴィ=ストロースなどの所説を検証し、消費社会を駆動する原理を解き明かす。

〔本書〕のねらいは、人類学もしくは記号論と経済学との間に一つの橋を架すること、すなわち、社会を律する象徴秩序を解明するという象徴人類学の手法を経済の領域に適用することにある。〔略〕本書は、記号論になじみの薄い経済学徒にとって、きわめてとっつきやすい経済人類学への入門書といえるのである。〔略〕本書で展開される消費の経済人類学は、今後の経済社会のありようを読み解く上で、きわめて適切にして新鮮な視点を一つ提供してくれたことになる。――<「訳者あとがき」より>

※本書の原本は、1984年、新曜社より刊行されました。