内容紹介
人間は「考えない葦」である!?──長大な『パンセ』から気になる一節を取り上げ、意外なエピソードをまじえながら読み解く楽しみ。それぞれ読み切りで書かれた40章から成る本書は、1日1章、40日で『パンセ』を完全制覇できる手軽なガイドブックです。ヨーロッパ最高の知性とともに生きる豊かな毎日を手に入れよう!
「人間は一本の葦にすぎない。自然のなかでもっとも弱いものである。だが、それは考える葦である」。
「クレオパトラの鼻がもっと短かかったとしたら、地球の様相の全体は一変していただろう」。
ブレーズ・パスカル(1623-62年)が残した大著『パンセ』には、誰もが耳にしたことのあるフレーズが数多く含まれています。そこには真理や深い洞察がひそんでいそうだと思って、実際に『パンセ』を手にしてみた人もいるでしょう。しかし、ほとんどは数行の断章であるうえ、前後の脈絡がない場合が多いので、いったい何を言おうとしているのか、さっぱり分からない……。しかも、膨大な分量を擁する『パンセ』は、通読するにはあまりに根気のいる難敵だと言わざるをえません。
そこで、本書の登場です。
第一級のパスカル研究者である著者が、誰でも気軽に手に取れて、しかも役に立つ本を、学術文庫のために書き下ろしました。本書は『パンセ』の中から気になる40のテーマを選び出し、それぞれ読み切りで書かれ、どこからでも読める40の章から成っています。各章は5分から10分もあれば読めるので、1日1章なら、40日で『パンセ』を完全制覇できる計算です!
さらに、5つの「コラム」を用意し、「パスカルとたばこ」、「パスカルと馬車」、「パスカルと偽名」といったエピソードを語ります。意外な人間らしさをそなえたパスカルという人物を身近に感じることができるでしょう。
ヨーロッパ最高の知性とともに、豊かな毎日を。──その絶好の機会を、ぜひ手にしてください!
目次
- はじめに
- 0 『パンセ』の成り立ち
- 1 馬 鹿
- 2 人を愛する
- 3 不快を耐えよ
- 4 想像力
- 5 動物たち
- 6 機械と習慣
- コラム1 パスカルとたばこ
- 7 三つの秩序
- 8 圧 政
- 9 蚊の力
- 10 理性と直感
- 11 適量の酒
- 12 二つの無限
- 13 幾何学の精神と繊細の精神
- コラム2 パスカルと音楽
- 14 笑 い
- 15 三つの邪欲
- 16 自我は憎むべきものである
- 17 手足とからだ
- 18 順 序
- 19 分け前
- 20 不確実なもののために努力すること
- コラム3 パスカルと馬車
- 21 知識の空しさ
- 22 民衆の健全な意見
- 23 多様性と変化
- 24 快のモデルと自然な弁論
- 25 オネットム
- 26 考えない葦
- 27 気晴らし
- コラム4 パスカルと偽名
- 28 メメント・モリ
- 29 ユダヤ人
- 30 隠れたる神
- 31 パンと葡萄酒
- 32 無 知
- 33 モンテーニュ
- 34 恐 れ
- コラム5 パスカルと演劇
- 35 メモリアル
- 36 ピュロン主義と独断論
- 37 自発的錯誤
- 38 賭 け
- 39 地 獄
- 40 来世を望むこと
- パスカル入門のための参考文献
- あとがき
- 引用断章リスト
製品情報
製品名 | パスカル『パンセ』を楽しむ 名句案内40章 |
---|---|
著者名 | 著:山上 浩嗣 |
発売日 | 2016年11月11日 |
価格 | 定価 : 本体1,070円(税別) |
ISBN | 978-4-06-292394-1 |
通巻番号 | 2394 |
判型 | A6 |
ページ数 | 272ページ |
シリーズ | 講談社学術文庫 |
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