今日ほど、人間についての根源的反省が強いられている時代はない。本書は、古今東西にわたる人類の思索の集積を、現代的視点から455項目に整理、簡潔明晰な定義、主張をもりこんだ個性的記述、東西思想からのアプローチによってわれわれの立ちむかうべき哲学的課題を論述、さらには、比較哲学年表、論理記号一覧、有機的使用に耐える各種索引も併載して、〈読む〉〈引く〉2つの機能を兼ね備えた現代人必備のユニークな事典である。
思考武器としての哲学的概念――現代は、あらゆる領域でその根本的な前提にさかのぼる反省がもとめられている時代である。そして、その分析・追求の有効な武器として哲学的概念が用いられている。しかし、哲学上の術語は一般に難解だし、実際必ずしも正しい使い方がされているとはいえない。このことが、元来錯雑した現代思想に無用な混乱を加えている面も無視できない。かといって無性格で無味乾燥な概念規定が、この混乱を救えるはずもない。こんな考えもあって、前々から、個性的アプローチで読んで面白く、しかも必要事項はおさえてある、そういった哲学事典はできないものかと思っていた。現代哲学事典は、こうした方向で編集してある。――編者のことば
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