「二十歳のあとさき」既刊・関連作品一覧
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オリンピックを控え、改造されゆく東京で私は成人式を迎えた。
佃の渡しは廃止され、赤線は修学旅行生の宿になった。急激に姿を変える町で、少年期を脱皮していく仲間たち。ほろ苦くも懐かしい、自伝的青春小説。
その晩、店を閉めたあと、主人が私の前に、でんっと日本酒の一升瓶を据えた。
「二十歳おめでとう」そう言って、コップを私に受け取らせた。
「今夜から堂々と酒が飲めるわけだ。まず、これを干しなさい」とコップになみなみと注いだ。
「ゆっくり、ゆっくり、のどを鳴らさぬように飲む。一滴残らず、あけなさい」
主人は私の飲みっぷりを観察している。「よし」とうなずいた。――(本文より)
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