「荻生徂徠「政談」」既刊・関連作品一覧

  • 電子あり
荻生徂徠「政談」

悪魔の統治術か。近代的思惟の先駆けか。
江戸の<病理>に立ち向かった、日本近世思想史の巨人による政策提言集。


開闢以来第一の人物と同時代人にも称賛された日本近世思想史の巨人、徂徠。
将軍吉宗の下問に応えて彼が献上した極秘の政策提言書には悪魔的な統治術の数々がしたためられていた。
反自由・反平等・反啓蒙の立場の表れか。
近代的思惟の先駆けか。
それは江戸の現実と病理に立ち向かった実践的思索の集積であった。
いまも論争を呼ぶ経世の書を平明な現代語で読む。


<「政談」巻末より>
「機事、密ならざれば、則ち害生ず」(『易経』繋辞上伝)ということがあって、幕府の政治上の機密は明白に人に語るべきものではないから、この物語は弟子にも書かせず、私自身の老眼と悪筆で認(したた)めたことである。将軍様の上覧に入れたのちは、焼却していただきたい。
物部茂卿 敬 識(もののべのもけい つつしんで しるす)


※本書の原本は、1974年に『日本の名著 16 荻生徂徠』として中央公論社より刊行されました。
 文庫化にあたっては、中公バックス版の同名書(1983年刊)を底本としました。