平穏な日々が、暗転する――その幸福は、本物ですか?
奥田英朗、初期の傑作にして大藪春彦賞受賞作!
ほんの小さなきっかけから追い詰められてゆく人たち。
どうして自分が、こんな目に。
ドアホンを手に取ると「警察です」という
男の低い声が恭子の耳に飛び込んだ。
心臓が早鐘を打つ。ドアホンを置く手が小さく震えた。
怖がることなんか何もない。
うちは貧乏でも金持ちでもない平凡な家庭なのだ。
何も起こるわけがないじゃないか。
(本文より)
妻を事故で亡くして以来、不眠に悩まされている刑事、九野。スーパーのレジ係として働きながら子育て中の主婦、恭子。華やかではないが平穏な二人の日常が、ある事件を機に交錯し始める――。小さなほころびがいつの間にか取り返しのつかない事態へと発展する、人生のもろさ、人の危うさを描いた著者初期の傑作!
奥田英朗は、新人の頃から凄い!
©奥田英朗
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