いったんは「神」と信者をコケにした棄教者のリーダーが戻ってきた。脇腹に「聖痕」を刻んで・・・。 いったい教会は再建されうるのか? そして神なしの祈りはありえるのか? 「世紀末の闇の深さ、希求する若い魂の激しさ。それをリアルに、明快に書くことをねがった。ひとり少年時に聞いた『神』の声を追いもとめる若者も、死の前に生きなおすことを企てる初老の男も、自分だと思う」(著者)。 【収録作品】 宙返り ──神なき祈り
芭蕉入門
幸田 露伴
大江健三郎全小説 第5巻
大江 健三郎,鈴木成一デザイン室
凡庸な芸術家の肖像 上 マクシム・デュ・カン論
蓮實 重彦
室生犀星
富岡 多惠子
秀吟百趣
塚本 邦雄
昔話
吉田 健一
漱石の世界
滝沢 克己
ラノベのなかの現代日本 ポップ/ぼっち/ノスタルジア
波戸岡 景太
大江健三郎賞8年の軌跡 「文学の言葉」を恢復させる
大江 健三郎,長嶋 有,岡田 利規,安藤 礼二,中村 文則,星野 智幸,綿矢 りさ,本谷 有希子,岩城 けい
人生の究極
森村 誠一
感触的昭和文壇史
野口 冨士男
素描 埴谷雄高を語る
講談社文芸文庫
大江健三郎(おおえけんざぶろう)1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
大江健三郎全小説全解説