日本精神の光輝と陰影を描き出し、日本人の「運命への愛(アモール・フアテイ)」を讃える
フランス最高の知性が透徹した眼差しで、日本二千年の歴史伝統に迫る
意志的に選び取られた死=自死。記紀と『万葉集』にある古代人の殉死に始まるこの風土の自死史。道真の怨霊、切腹の誕生、仏教と自死の関係を問う。『葉隠』『忠臣蔵』に表出する武士道精神と近松、西鶴が描く心中とは何か? そして近代日本が辿った運命を、芥川、太宰、三島らの作品に探る。自殺大国の謎を西欧知性が論理と慈愛で描く「画期的日本文化論」。
死の誘惑を断ち切って生き続ける力が、自分にはあるのだということを日本民族は示した。生を、平和を、労働を、日本は選んだのである。(中略)何世紀にもわたってこの日本列島の男たち、女たちを<意志的な死>に誘(いざな)ってきたさまざまな道筋を注意深く観察した結果、わたしは今でははっきりとこう言うことができる――日本人の持つあらゆる徳のなかでもひときわ優れて美しい徳はその生命力である、と。――<「日本版への序」より抜粋>
※本書の原本は1986年、筑摩書房より刊行されました。
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