内容紹介
なぜ遺伝子操作で新生物を作れないのか? なぜ同じ遺伝子が、ハエでは複眼を、哺乳類では単眼を出現させるのか? ネオダーウィニズムでは説明不能な進化現象の数々。プラトン、ラマルク、ダーウィン、メンデル、ドーキンス……。進化論の系譜を再検証し、生物を記号論的に環境を解釈するシステムと定義することで、もう一つの進化論を構想する。(講談社学術文庫)
DNA至上主義のネオダーウィニズムと訣別し、生物=システムという観点から、革新的進化論を提唱する
「進化とは、偶然起こる遺伝子の突然変異が、自然選択で、集団のなかに浸透していく」ことではない!
なぜ遺伝子操作で新生物を作れないのか? なぜ同じ遺伝子が、ハエでは複眼を、哺乳類では単眼を出現させるのか? ネオダーウィニズムでは説明不能な進化現象の数々。プラトン、ラマルク、ダーウィン、メンデル、ドーキンス……。進化論の系譜を再検証し、生物を記号論的に環境を解釈するシステムと定義することで、もう一つの進化論を構想する。
科学が発展し、取り扱う現象が複雑になってくると、実体論ではうまく説明できないことが多くなってくる。生物の進化論におけるネオダーウィニズムは、実体論的色彩が強い理論である。ネオダーウィニズムはDNAそのものの進化理論としては、かなりイイ線までいった理論であるが、残念なことに生物はDNAではない。生物の進化を説明するためには、さらに関係論的な方向に、研究枠組みをシフトさせる必要がある。実体論から関係論への流れは科学の潮流といってもよい。構造主義進化論(構造主義生物学)もこの流れのなかに位置しているといえよう。――<「エピローグ 科学の挑戦」より抜粋>
※原本『さよならダーウィニズム 構造主義進化論講義』を改題
目次
- 学術文庫版まえがき
- プロローグ ダーウィニズムの限界
- 1 進化論の基本図式
- 2 ネオダーウィニズムに対する三つの反証
- 第一章 「進化論」の歴史──ダーウィニズム以前
- 1 プラトンとアリストテレス
- 2 「進化論」前夜──中・近世ヨーロッパの生物観
- 3 ラマルクの『動物哲学』
- 第二章 ダーウィニズムとは何か
- 1 『種の起源』を読む
- 2 「生物」と「進化」のトートロジー
- 3 メンデルの再発見
- 第三章 ネオダーウィニズムの発展
- 1 総合学説の提唱者たち
- 2 分子生物学の発展
- 3 遺伝子とは何か
- 第四章 構造主義的アプローチ
- 1 名と時間
- 2 共時性と拘束性
- 3 形式と認識
- 第五章 構造主義進化論
- 1 進化法則
- 2 構造の性質
- 3 情報と解釈系
- エピローグ 科学の挑戦
- あとがき
- ブックガイド
製品情報
製品名 | 構造主義進化論入門 |
---|---|
著者名 | 著:池田 清彦 |
発売日 | 2011年02月11日 |
価格 | 定価 : 本体920円(税別) |
ISBN | 978-4-06-292037-7 |
通巻番号 | 2037 |
判型 | A6 |
ページ数 | 272ページ |
シリーズ | 講談社学術文庫 |
初出 | 原本「さよならダーウィニズム-構造主義進化論講義」は、1997年小社より刊行された。 |
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